American Association for the Advancement of Science (AAAS)
新しい研究により海洋無脊椎動物捕食者の対被食者の体のサイズは過去5億年で大きくなったことが判明した。この結果は実証が難しかった有力な説を支持するものである。エスカレーション説では、より強く代謝的にも活性化した捕食者からのトップダウン圧が被食者の進化の動向を、例えば被食者の運動能力、潜砂行動、防御機能の強化などによって左右してきたとしている。ただ、種間における昔の複雑な相互関係の再現は、エスカレーション説にとっては重要な手がかりになり得るとは言え、難しい。Adiël A. Klompmakerらは今回、被食者の殻にある攻撃の跡つまり「穿孔痕」を分析し、過去5億4千万年にわたる顕生代の海洋生物の捕食‐被食の相互関係を再現した。まず数百もの穿孔痕と捕食者のサイズを比較し、大型化する捕食者のサイズと穿孔痕径に直接的な関係があることを確認した。次に分類群にして360を超える約7,000の試料を対象に、穿孔痕径、被食者のサイズ、捕食者対被食者のサイズ比の顕生代における傾向を調査した。被食者の殻のサイズの中央値は顕生代の大半にわたってほぼ一定していた。一方、穿孔痕径の中央値は0.35 mmから3.25 mmに拡大しており、このことは被食者に対して捕食者のサイズが著しく大型化したことを示している。Klompmakerらは捕食者対被食者のサイズ比の拡大は海洋生態系のエネルギー構造の激変によるものだと述べている。海洋捕食生物は大型化し続ける体格と食欲を満たすために獲物の摂取量を増やさなければならなかった。捕食者が大型化すると同時に、被食者の運動能力と潜砂行動は強化する。この結果は捕食者が引き起こした進化だと言えるとKlompmakerらは述べている。
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