数十年にわたり多数の両生類集団の世界的減少に関与しているきわめて有害な真菌類の起源が朝鮮半島であることが、新しい研究で突き止められた。データから、地域から地域へ真菌類がどのようにして広がるのかに関するより詳細な状況が示され、過去1世紀の間に人による両生類の種の売買によってどのようにこの疾患の伝播が促進されたのかが強調された。真菌類Batrachochytrium dendrobatidisは、ツボカビ症と呼ばれる両生類の致死的疾患を引き起こす。ツボカビ症は1970年代に初めて確認され、その時点で世界中の地域、ほぼすべての大陸で多く検出されていた。しかし、これまでの研究では一貫した結果が得られていないため、B. dendrobatidis が初めて認識されてから数十年間、この病原体の地理的起源と世界的伝播のタイミングについて熱い議論が行われている。この矛盾を解決するため、Simon O'Hanlonらは、さまざまな地域のB. dendrobatidisサンプル177個を分離して遺伝子の配列決定を行い、この新しいデータとこれまでに発表されていたゲノムとを組み合わせた。データから、すべての菌株が、朝鮮半島で発見されたBdASIA-1と呼ばれる菌株との重複を最も多く共有していることが明らかになった。これは、この病原体が朝鮮半島を起源とすることを示唆している。さまざまなB. dendrobatidis株とその関連性の解析から、この病原体が20世紀初頭に出現した可能性が示唆された。O'Hanlonらは、これが両生類の世界的な売買(エキゾチックなペットとして、医学的・食料目的として)の拡大と同時期であることを指摘している。事実、売買された両生類が感染していた事例が10件確認されている。その後の調査で、一部の株は他の株よりも毒性が強く、集団レベルの結果は状況依存性でもあることが明らかになったと著者らは報告した。関連したPerspectiveでKaren Lipsが状況についてさらに述べる。
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