大きな雌の魚は、その大きさの比率を考慮しても小さな雌魚より多くの子孫を残すことが、新たな研究により明らかにされた。気候変動のために世界の多くの海域において魚が小型化する(したがって生まれる魚の数も減る)と予想されるため、この研究結果は漁業管理者にとって意義がある。魚の生殖生産量(reproductive output)が体の大きさに比例して変化するかどうかという問題は、これまでも熱心に議論されてきた。諸理論および漁業モデルでは、2キログラムの魚1匹の生殖力は、1キログラムの魚2匹に相当すると想定されている。しかし、野外生物学者たちは繰り返し、魚の生殖力は体重増加の程度とは不釣り合いに増大する可能性を示唆してきた。この問題をより詳細に検討するため、Diego R. Barnecheらは342種の海産魚の総生殖エネルギー生産量(reproductive-energy output)について分析を行った。その結果、実際に大部分の種では、大きな雌魚からはサイズ増加の程度を大幅に上回る数の子孫が生まれるというパターンが認められた。例えば、30キログラムの雌魚1匹は、2キログラムの雌魚28匹(合計で56キロ)よりも多くの卵を産む。また、30キログラムの雌魚が産む卵の合計は、2キログラムの雌魚が産む卵の合計の37倍もの総生殖エネルギー量を持っている。これらの結果は、海産魚の個体群が増える上で、よりサイズの大きな魚の存在が重要であることを強調していると著者らは述べている。気候変動により生じると予測される大西洋サバ(Scomber scombrus)のサイズ減少の推定値に基づいて著者らは、この減少によりこの種における生殖力は1匹あたり50%低下するであろうと示唆している。良い知らせとしては、海洋保護区域では魚のサイズが増加することが分かっており、将来のより持続可能な漁業にとって、少なくとも一つの解決法を示すものである。
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