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植物の根は気体ホルモン信号を介して圧縮土壌を感知する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者の報告によると、揮発性の植物ホルモンであるエチレンのおかげで、植物の根は圧縮土壌を感知して避けることができるという。根をエチレンに反応しない状態にすると、圧縮土壌に貫入しやすくなることを、同研究者グループは示した。この研究成果は、植物が土壌の圧縮(世界中の現代農業にとって深刻さを増す課題)に応じて、自らの成長を調節する仕組みを明らかにするものであり、育種家が土壌圧縮に強い新しい作物を選択または開発するための道筋になる可能性もある。重機への高まる依存とずさんな土壌管理が一因となって土壌が圧縮され、その結果、根の成長が抑制されたり水や養分の利用可能率と輸送が制限されたりして、収穫量が減少する。圧縮土壌中で成長できない植物の根が多いのは、単に固い土壌に貫入できずに成長が停止するからだと、これまでは直観的に想定されてきた。しかしBinpin Pandeyらによると、根の成長が抑制されるのは、圧縮土壌中で物理的に成長できないのが原因ではないという。むしろ、エチレン(根の組織で作られる気体の植物ホルモン)の蓄積によって、根の成長が著しく妨げられることを著者らは実証した。Pandeyらがイネの根の成長に果たすエチレンの役割を評価したところ、突然変異によってエチレンに反応しなくなった根は、野生型の根よりも圧縮土壌に貫入しやすいことがわかった。この研究結果は、エチレンは緩くて空気を通す土壌では拡散するが、圧縮土壌では拡散せず、気体の拡散が妨げられてホルモンが根の組織に蓄積し、成長を抑制するようなホルモン反応が引き起こされることを示唆している。

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