News Release

航跡雲研究は人為起源エアロゾルの冷却効果を誇張している?

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

船舶から排出されるエアロゾル粒子が「航跡雲(船舶が通ったあとにできる雲)」の発達を促し、その雲が放射エネルギーを宇宙空間に跳ね返す。その結果、大気エアロゾル粒子が雲の反射率に広範な影響を及ぼすと考えられている。しかし新しい研究によると、航跡雲のデータを法則化して、人為起源エアロゾルが気候強制力に果たす役割を推定するのは不可能であり、人為起源エアロゾルの冷却効果は誇張されているという。この研究成果から、気候変動の予測に現在用いられている現行のエアロゾル雲の強制力推定において、重大なバイアスが浮き彫りになった。入ってくる太陽放射を宇宙空間へ跳ね返すことにより、層積雲は地球を冷却し、地球の気温調節において重要な役割を果たしている。大気エアロゾル粒子が雲形成や雲全体の反射率に及ぼす影響は、人間が気候システムに及ぼす影響を理解・予測する際の大きな不確定要素である。船舶から立ち昇る排気ガスによって形成される長い直線状の層積雲(航跡雲)をはじめとする研究データは、人為起源エアロゾルの放射影響を推定する際に用いられてきた。今回Franziska Glassmeierらは、この方法は、大気における人為起源エアロゾルの冷却効果を推定する際には使用できないと主張している。Glassmeierらは詳細な数値シミュレーションを衛星データの解析結果と比較することにより、航跡雲研究から得られるデータ(特にエアロゾルが非降水性の層積雲に及ぼす影響)が、冷却効果を最大で200%過大評価していることを示した。著者らによると、雲に調節された放射強制力における人為起源エアロゾルの役割を制約するには、層積雲の減少による温暖化効果について説明する必要があるという。この研究成果に基づき、「エアロゾル効果の直接観測ができるような、航跡雲研究に代わる方法を見つけるのが望ましいと思われる」と著者らは述べている。

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