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免疫応答の面から一部の小児でRSV感染症が軽いことが説明される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

小児190例のコホートを研究した結果、この研究チームはRSウイルス(RSV)感染症にかかった小児でも、一部は軽症となる一方で、より重度の疾患で入院を要する症例があることを説明する重要なヒントを発見した。この結果から、RSVに対する免疫応答における重要な特徴が明らかにされ、またこの感染症に対してこれまで困難であったワクチン開発に役立つ情報が得られる可能性がある。RSV感染症は小児でみられる一般的な疾患で、発展途上国では新生児における入院の原因として最も多いものであるが、 ほとんどの場合はごく軽症にとどまる。これまでの研究から、年齢からウイルス量に至るまで様々な因子がRSV感染症の重症度に影響することが示唆されているが、これらの因子が生物学レベルでこの感染症の疾患経過にどのように影響を及ぼすのかは十分に理解されていない。また、重症度の高い症例は異常な免疫応答と関連するのではないかとも考えられている。これらの疑問を検討するため、Santtu Heinonenらは、RSV感染症患児125例および健康対照児65例の若年小児計190例から採取した血液サンプルについて免疫学的特徴を比較した。驚いたことに、軽症であった小児では、入院を必要とし、ライノウイルスや別の呼吸器ウイルスに感染している可能性の高い小児よりも、実際は保有するウイルス量が多いことが分かった。また軽症の小児では、自然免疫応答にとって重要な分子であるインターフェロンの産生に関わる遺伝子の活性が高かった一方で、炎症に関わる遺伝子の発現は低かったことも示された。著者らは今回の結果が、RSV感染症の重症度を左右するものとして自然免疫が重要な役割を果たすことを支持するものであると述べ、この結果がRSVに対する新規のワクチンおよび抗ウイルス薬を評価するための臨床研究のデザインにとって有用となり得ると考えている。

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