News Release

特集号:社会、生態系、農業に対する干ばつの影響

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

今回のScienceの特集号では5本のReviewで、世界の社会、生態系、農業への干ばつの影響に関する新たな知見を特集している。1本のReviewでMegan Mullinが、アメリカでは市町村水道事業の運営に政治的分断があり、それが地域社会や家庭に対する水安全保障確保の差異の一因となっていると述べている。世界基準で見るとアメリカ人の大半が安全な飲料水を安定的に供給されているとは言え、上水の供給は国内全域、とりわけ村落や貧しい地域ではまだ同等ではない。この不同は上昇し続ける干ばつのリスクによって悪化するとMullinは言う。干ばつが深刻化すると、多くの地域で水の供給が瀬戸際に立たされかねない。水道事業政策の弱点を突き止めてそれに対処することが、全てのアメリカ人に水の安全保障を確保するための極めて重要なステップだとMullinは述べている。別のReviewではToby Aultが、干ばつの様々な定義と物理的原因および干ばつのリスクを評価・予測する分析ツールに注目している。3つ目のReviewではTimothy Brodribbらが、多くの地域で気温が上昇して乾燥も進む中で地球の森林がいかに脆弱であるかを述べている。Brodribbらによると、寿命の長い多数の樹種が水ストレスによるダメージを受けやすいと考えられると言う。Aditi Guptaらは、植物が水不足に適応すべく自らの生理機能を変える仕組みについて現在判明していることを考察している ―― 耐乾燥性高収量作物を開発する際にはこの研究から情報が得られる。5つ目のReviewではFranciska De Vriesらが、環境ストレスに対する回復力を植物に与える際の土壌微生物相の重要性を取り上げる研究が増えていると述べている。農作物・土壌微生物相間の反応で干ばつの影響が緩和される仕組みを解明することで、乾燥の進む地球での持続可能な食料生産が可能になると考えられる。

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