マルハナバチは観察するだけで新しい道具の使い方を学習して報酬を手に入れられることが、新しい研究によって明らかになった。この結果は、ハチが複雑な目的志向型の問題を解決する方法を学び、さらには元の手順を改良する能力があることを示している。Olli J. Loukolaらは今回、マルハナバチをプラットフォーム上に置き、報酬として砂糖水を得るためにプラットフォームの端から中央まで黄色いボールを動かすように訓練した。その動作の実演にはプラスチック製のハチを使用した。どのハチも一旦訓練を受けると、ボールをプラットフォームの中央に上手く移動させ、砂糖水を得ることができた。次に、3つのハチのグループでそれぞれに異なるシナリオで訓練を行った。「社会デモンストレーション」シナリオでは、訓練を受けたハチが訓練を受けていないハチの前でボールを動かした。「ゴーストデモンストレーション」シナリオでは、磁石を使ってボールを動かした。3つめのグループでは、ボールはあらかじめ中央に置いておいた。最初の2つのグループの訓練では、3つのボールを使用し、近くにある2つのボールは位置を固定しておき、砂糖水を得るには最も遠くにあるボールを動かさなければならないようにした。この3グループで調べた結果、社会デモンストレーショングループで観察したハチはゴーストデモンストレーションのハチよりもこの課題の成功率は高く、要した時間も短かった。また、ゴーストデモンストレーションのハチはデモンストレーションのないグループよりも平均的に成功率が高かった。これらの結果により、ハチは動くボールを観察するだけで課題を解決できることが示唆された。さらに、観察したハチは最も近いボールの所に‐ボールの色を変えて行った別の実験でも‐直接行った。このことは、ハチは単にお手本の行動を真似るだけでなく、観察した行動をより良い方法で改良することを示している。
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