News Release

がん周囲の線維芽細胞が分泌する物質による胃がん難治化メカニズムを解明

Peer-Reviewed Publication

Kumamoto University

Annexin A6 is Specific to CAFs

image: <p>A: The expression level of Annexin A6 protein in gastric cancer cells and CAFs. Annexin A6 is expressed only in CAFs. </p> <p>B: Fluorescent immunostaining in tissues from gastric cancer patients. AnnexinA6 (green) is consistently expressed in cancer-associated fibroblasts (CAFs: upper red) (yellow region in merged figure). However, it is rarely expressed in cancer cells (lower red) (yellow areas are barely visible when merged). </p> view more 

Credit: Dr. Takatsugu Ishimoto

熊本大学の研究グループは、共同研究により、胃がんの抗がん剤治療抵抗性獲得のメカニズムを新たに発見しました。がん関連線維芽細胞 (CAFs)が分泌する細胞外小胞 (EVs)に含まれるAnnexinA6という分子が胃がん細胞に取り込まれることで、抗がん剤治療抵抗性につながることを確認しました。これにより、AnnexinA6やがん関連線維芽細胞 (CAFs)をターゲットにした新たな創薬開発の可能性を見出しました。

胃がんは日本において二番目に多いがんです。特に進行した胃がんにおいては抗がん剤などの様々な薬剤が用いられていますが、十分な病状の改善は得られていません。がん細胞の周りはがん微小環境とよばれる様々な細胞によって構成されています。その構成細胞の一つであるがん関連線維芽細胞 (CAFs)は様々な因子を分泌することでがんの悪性化を強めることが知られています。

本研究でははじめに胃がん患者の組織において、がん関連線維芽細胞 (CAFs)の量が多いとその後の病状が悪いことを明らかにしました。この関係は進行がんで抗がん剤治療を行った胃がん患者でも同様の結果でした。この結果を受けて、抗がん剤抵抗性獲得の原因となるがん関連線維芽細胞 (CAFs)由来の因子が存在するのではないかと考えました。

次に、ヒトの生体の条件に近づけた細胞実験によって、がん関連線維芽細胞 (CAFs)の培養上清で培養した胃がん細胞が抗がん剤抵抗性を獲得することを示しました。どの遺伝子が 発現しているかを調べる遺伝子発現解析を胃がん細胞で行った結果、がん関連線維芽細胞 (CAFs)由来のAnnexinA6を発現する細胞外小胞 (EVs)が、胃がん細胞の抗がん剤抵抗性に大事な働きをしていることを発見しました。細胞外小胞は細胞から放出される脂質二重膜で囲まれた小胞のことで、細胞間の情報伝達等に関わっていることが明らかにされつつあります。また、AnnexinA6は胃がん細胞自体にはほとんど発現せず、がん関連線維芽細胞 (CAFs)だけに存在していることが明らかになりました。

以上のことから、AnnexinA6が細胞外小胞(EVs)を介して胃がん細胞に取り込まれることで抗がん剤抵抗性獲得に関わることが分かりました。さらなる実験から、AnnexinA6は胃がん細胞内に取り込まれた後、胃がん細胞膜上の細胞接着分子「β1インテグリン」を安定化させ、下流のシグナルを活性化することで抗がん剤抵抗性の獲得に寄与していると考えられます。

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研究グループの一人、石本崇胤特任准教授は次のようにコメントしています。 「この研究により、胃がん細胞の周りにあるがん関連線維芽細胞(CAFs)由来のAnnexinA6が抗がん剤治療抵抗性を引き起こしていることが分かりました。今後の研究の進捗によって、胃がんにおいてAnnexinA6やがん関連線維芽細胞 (CAFs)をターゲットにした新たな創薬開発が期待されます。」

本研究成果は、学術雑誌誌「Cancer Research」に令和2年6月30日に掲載されました。

[Source]

Uchihara, T., Miyake, K., Yonemura, A., Komohara, Y., Itoyama, R., Koiwa, M., � Ishimoto, T. (2020). Extracellular Vesicles from Cancer-Associated Fibroblasts Containing Annexin A6 Induces FAK-YAP Activation by Stabilizing β1 Integrin, Enhancing Drug Resistance. Cancer Research. doi:10.1158/0008-5472.can-19-3803


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