News Release

受賞者は、マイクロバイオームと代謝産物と神経変性の関係を明らかにした

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Eran Blacherは、マイクロバイオームとアルツハイマー病(AD)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患との関係を明らかにした研究により、2021年のNOSTER & Science Microbiome Prizeを受賞した。この知見により、「腸脳軸」に関する新たな見識が明らかになり、マイクロバイオームとそれに関連した代謝経路を利用すれば、これらのそして他の破壊的な神経疾患を治療する重要な方法が得られる可能性があることが示された。世界中で何百万人もが神経変性疾患に苦しめられているが、神経変性の根源は依然として不明である。相次ぐ研究で、ヒトの脳が腸マイクロバイオームと密接に関係しており、複数の方法で脳の活動に影響を与えていることが一貫して示されている。例えば、共生細菌が産生する低分子代謝物は、血流に吸収されて脳に到達し、そこでニューロン、星状細胞、小膠細胞などの脳細胞の活動を調節する可能性がある。Blacherらはマウスモデルで、ALS(脳と脊髄の神経細胞を侵す、進行性の神経変性神経筋疾患)におけるマイクロバイオームとその代謝物の役割を検討した。ALSの傾向があるSod1-トランスジェニック(Sod1-Tg)マウスに広域抗菌薬を投与してマイクロバイオームを枯渇させ、臨床ALS運動症状に先行して腸内毒素症とマイクロバイオームにより代謝物の構成が変化していること、そして11種類の微生物株が疾患重症度と関連していることを発見したのである。腸内細菌Akkermansia muciniphilaまたはそれに関連した代謝物であるニコチンアミドを用いてSod1-Tgマウスをプロバイオティクス治療したところ、運動機能の大きな改善と異常な脊髄遺伝子発現パターンの回復により、ALS症状が改善された。さらに、ヒトを対象とした予備的な観察研究で、マイクロバイオームの構成およびALS患者の機能に、血清と脳脊髄液中のニコチンアミド濃度減少に関連した同様な有意な変化が観察された。「われわれは、これらの知見がこれまでのマウスにおける観察結果と関連しており、将来の大規模な臨床試験の基礎となる可能性があると考えている」とBlacherは述べている。賞のファイナリストは、「宿主‐微生物叢の相互作用を数値で示す」のMaria Zimmermann-Kogadeevaと「腸内細菌叢の変化は免疫療法抵抗性のメラノーマ患者の反応を促進する」のErez Baruchであった。

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