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褐色矮星の風速を測定する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、褐色矮星2MASS J1047+21の上層大気には強風が吹いており、これを利用すれば、他の褐色矮星でも大気中の風速を簡単に推定できるという。褐色矮星の赤外線と電波の放射を観測することによって、遠方にある天体に吹く強風の速度を求めたところ、平均秒速660メートル(時速約2400キロメートル)で東向きに吹いていた。今回の結果は、この方法を用いれば系外惑星の大気の特徴も明らかにできることを示している。褐色矮星(大きな惑星と小さな恒星の間の質量をもつ天体)は、自転や大気の特性の多くが巨大ガス惑星と共通している。木星のような太陽系の巨大ガス惑星の場合、大気に特徴的な緯度方向の風のパターンが見られるため、観測は容易である。こうした風の速度は、木星大気中の雲の動きと、木星内部の自転によって生じる電波放射とを比べることで求められる。今回Katelyn Allersらは、この方法を応用すれば、太陽系のはるかかなたにある巨大ガス惑星や褐色矮星の風速も測定できることを示した。Allersらは近傍褐色矮星2MASS J1047+21を観測して、赤外線(大気の自転)と電波(内部の自転)の波長における自転周期を測定した。これらの測定値の差から褐色矮星の平均的な風速と風向きを求めたところ、秒速約660メートルで西から東へ吹いていることがわかった。「風速を求めるこの方法は、原理上は、褐色矮星と同じような自転速度や周期変動をもつ系外惑星にも応用できる」と著者らは述べている。

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