News Release

両生類の大敵による世界的な被害が初めて明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ツボカビ症は、高病原性の真菌による両生類の疾患であるが、過去50年間で500種を超える両生類が減少し、そのうち90種は絶滅したと推定される、と研究者らが報告している。この研究は、原因菌のツボカビによる世界的な被害を初めて算出したものであるが、両生類におけるこの流行病は、疾患による生物多様性の減少としては過去に記録された最大のものであることを明らかにしている。真菌であるカエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis:Bd)が引き起こすツボカビ症により両生類の大量死および絶滅が始まったのは約30年前であるが、それはツボカビの病原性株がアジアで発生した後からで、動物貿易により世界中に広がったと考えられる。「この真菌種に対する理解が進みつつあるにもかかわらず、科学者らはBdにより世界中の両生類集団にもたらされた被害の規模を推測することしかできなかった」が、これは主に適切なデータセットがなかったためであったと、Dan GreenbergとWendy Palenは関連するPerspectiveで記している。今回Ben Sheeleらは、ツボカビ症に関連する両生類の世界的な減少に関する包括的なデータセットを用いて、ツボカビ症がもたらした殺滅の歴史を再構成し、それが世界的な生物多様性に及ぼす影響を定量した。Sheeleらの解析から、 Bdは最も破滅的な侵襲性の菌種の一つであり、少なくとも501種の両生類の減少をもたらし、そのうち124種は深刻な(90%超)個体数の減少にみまわれている。ツボカビ症による大量死は1980年代にピークに達し、新たな集団減少は減速しているものの、著者らはBdやその他の株が病原性を強めるか新たな地域に拡散することを考えると、アウトブレイクのリスクは引き続き存在すると警告している。しかし、大部分の両生類には引き続き個体数の減少がみられるものの、全ての種が絶滅したわけではない。著者らは、回復の兆しと、一部の両生類種における宿主耐性の発現の可能性を示すある程度のエビデンスを明らかにした。

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