News Release

ポリエチレンを新しい方法でアップサイクルすることにより、プラスチック廃棄物から価値を生み出す

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

特殊な触媒を用いてポリエチレン(最も一般的なプラスチック)を分子に分解することによって、溶媒を使わずにポリエチレンをより高価値で広く利用されている化合物に変える方法が示された。関連するPerspectiveではBert Weckhuysenが、「今回の進歩によって、循環型プラスチック経済への道が開かれるだろう。そうすれば、プラスチックは廃棄物ではなく価値ある原料と見なされるようになる」と述べている。プラスチック製品の多くは使い捨てや短期使用を目的としており、ほとんどはリサイクルされない。その結果、大量のプラスチック廃棄物が埋め立て処分されるか、さらに悪い場合は、自然環境中にどんどん積み上げられて、何百年もその場に残ることになる。プラスチック廃棄物の管理および再利用を改善する取り組みが様々に行われてきたが、十分な成果が得られておらず、多くの取り組みが依然として大きな技術的・経済的な課題に直面している。たとえば、リサイクル材料から作った製品は、新規に作った製品よりも劣ることが多い。しかも、解重合(ケミカルリサイクルや原料リサイクルともいわれる)を行うと、プラスチックの元の化学成分を回収して別の高価値の化学物質に使用できるが、現行の方法は複雑だったり、エネルギーを大量に消費したり、大量の共反応物が必要だったりする。それ故に、再生された製品は加工費用を回収できる見込みがない。今回、Zhangらは低温の「ワンポット」法で、ポリエチレン廃棄物を長鎖アルキル芳香族化合物(洗浄剤や潤滑剤、冷却剤の製造に欠かせない原料)に変える方法を示した。Zhangらは、白金アルミナ触媒を用いれば、高温状態や高圧水素がなくても、様々なポリエチレン(ポリ袋やペットボトルのキャップなど)を効率的に分子に分解して、高価値の材料に変えられることを示した。この研究結果には期待がもてるが、経済的に成り立つためには触媒の改良が必要であると、著者らは指摘している。「これが実現すれば、炭素原子をリサイクルして、化学機能を高価値の製品に再導入できるようになり、非化石燃料によるプラスチックが経済的により魅力のあるものになるだろう」とWeckhuysenは述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.