雄のチチュウカイミバエになることは、発生時に男性を決定するシグナルを出すために必要な小型のタンパク質をコードする、新しく発見されたY染色体上の遺伝子、Maleness-on-the-Y(MoY)遺伝子に依存していることが、新しい研究で示された。報告によれば、このY染色体上のマスター遺伝子は、オリーブミバエや侵略的なミカンコミバエなどの複数の他の主な害虫ミバエで保存されており、より有効な遺伝子ドライブを用いた害虫制御を開発する重要なツールとなり得ることが示唆される。世界的に分布している非常に破壊的なチチュウカイミバエ(Ceratitis capitate)は、世界でもっとも破壊的な農業病害虫の1つであると広く考えられている。遺伝的制御戦略は野生のチチュウカイミバエ集団の抑制に有用であるが、遺伝子レベルでのチチュウカイミバエの性決定がわかっていないため、別の重要なミバエ科害虫と同様な制御戦略の有効性は限定されている。今回、Angela Meccarielloらが、チチュウカイミバエにおける雄性の決定を担うY染色体上のM因子を発見したことを報告した。Meccarielloらは、雄XY胚のMoY機能をサイレンシングまたは破壊すると稔性の雌が発生し、一方、この遺伝子を過剰発現させると雌XX胚から稔性の雄が発生することを明らかにした。また、トランスフォームしたXY雌とXX雄を交配させると両方の性が作られ、Y染色体がXY雌によって伝達されて、稔性の子孫が作られたことが示された。結果によると、MoY遺伝子は他のミバエ科の種でも機能的に保存されており、M因子を遺伝子操作すれば同様な性転換が生じることが示される。
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