News Release

人獣共通感染症のスピルオーバー予防を目的として野生動物由来病原体のモニタリングを行うグローバルシステム

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Mrinalini WastaはPerspectiveの中で、新規の人獣共通感染症のアウトブレイクの可能性が存在すること対処するためには、グローバルに野生動物疾患サーベイランスを行う厳格な分散化システムが必要であると主張している。Watsaによれば、このようなシステムによって、新たなスピルオーバーイベントを、現在のCOVID-19パンデミックのようなグローバルな公衆衛生上の危機に至る前に同定し、その発生源を明らかにできるという。直近で発生した新興感染症(EID)アウトブレイクのうち3つ、すなわち重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)および現在のCOVID-19感染症は、人獣共通コロナウイルスが原因である。また、HIV、エボラ、およびH1N1などの他の難治性疾患による、最近人類を襲った多くのアウトブレイクも、中間動物宿主からのスピルオーバーイベントに由来している。しかし、ヒトに対して有害なものとして同定されている180のRNAウイルスの約90%が動物に由来するにもかかわらず、動物や動物製品(特に野生動物市場における)に対する病原体スクリーニングに関する国内的または国際的なプロトコールがないため、スピルオーバーイベントの発生源を明らかにすることは困難である。Watsaの主張によれば、野生動物の取引に関連する感染症のリスクは、依然として現行のEIDサーベイランスにおいて解決されていない最大の課題の1つである。野生動物市場(合法も非合法も含め)は、ヒトと見慣れない動物との興味深い組み合わせを、しばしば込み合った建物の中で、それも非衛生的で免疫能を低下させる条件下で発生させており、このことが疾患伝播を促進する可能性がある。しかし、こうした市場における疾患サーベイランスはほとんど行われていない。著者らは、野生動物を対象とした現在の疾患サーベイランス法を用いて、幅広く用いられているポータブルかつ廉価な分子診断技術に基づいたグローバルな分散化システムを、いかにして構築できるのかについて概説している。著者らは、こうした取り組みの中に、研究所や公衆衛生機関だけでなく、より多くの利害関係者を組み込むことで、分散化システムによってグローバルなレベルでの参加を、特に最もリスクが高く、リソースの不足した地域において促進できるだろう、と示唆している。

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