News Release

太平洋岸北西部で2017年に発生した山火事に基づいて、上空における煙プルームの影響を再評価する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、2017年の夏に太平洋岸北西部で発生した大規模な山火事では、巨大な煙プルームが生じ、それが急上昇して成層圏に達し、8ヵ月以上そこに留まったという。この史上最大規模の山火事は、いくつもの地上および衛星のプラットフォームから観測されており、現行の理論モデルを評価するうえで、また核戦争が地球の大気と気候に及ぼしうる影響について見識を得るうえで、絶好の機会となった。猛烈な熱と煙から発生した強力な火災旋風によって、火災積雲(pyroCb)が生じ、大気中に激しくわき上がる場合がある。地上の火事によって過熱された空気が急上昇すると、煙を注入された雷雲のような塔状の雲が生じ、それが煙突として機能して煙の粒子が地球の成層圏に直接送り込まれ、地球規模で長期間にわたり影響を及ぼす。火災積雲は過去にも観測されたことがあったが、比較的まれな雲であるため、モデルによるシミュレーション以外では、大気全体に及ぼす物質的・化学的影響はほとんどわかっていない。Pengfei Yuらは、「Stratospheric Aerosol and Gas Experiment III(SAGE III-ISS)」と「Cloud-Aerosol Lidar and Infrared Pathfinder Satellite Observation(CALIPSO)」の衛星プラットフォームから直接観測を行うことで、2017年の山火事の火災積雲を特徴づけ、現行モデルの仮定を評価した。Yuらは、太陽に熱せられたブラックカーボン(黒色炭素、BC)粒子によって煙プルーム内の空気が暖められ、自己上昇が生じて2ヵ月間に12から23キロメートル近くまで上昇した結果、成層圏で長期間滞留し、広範囲に拡散したことを見出した。また観測結果から、有機炭素の光化学的損失も明らかになり、この影響を考慮していないモデルの予測よりも、煙の存続期間が40%短かったこともわかった。著者らによると、核兵器の爆発が引き起こす都会の火災旋風のモデルでは、自己上昇する煙が予測されており、今回の観測結果はこれが発生したことを示唆しているという。

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