News Release

飛翔能力のないトリでは非コードDNAが飛翔能力喪失への収束進化を促す

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らにより、古顎類(Palaeognathae)の鳥類における飛翔能力喪失に至る収束進化の分子的起源が、トリDNAの非コード領域に隠されていのが発見されたと、新たな研究が報告している。この結果は、全動物界を通じて進化収束表現型に関する今後のゲノム研究の一例を示すものである。生命の系統樹上の異なる系統の種が、時間を経て類似した進化形質を発現することがある。例えば、様々な鳥類が飛翔能力を喪失したが、これは鳥類の進化過程において何度も繰り返して独立に発現してきた収束形質である。しかし、何が収束進化を引き起こすのかについて十分に解明されておらず、その原因となる基礎にある遺伝子変化、例えば蛋白質をコードする制御領域における変化が何であるのかは、長年にわたり進化生物学の中心にあるいまだ未解決の疑問である。これらの疑問を解明するため、Timothy Sacktonらは 様々な走鳥類、すなわちダチョウ、キーウィ、エミュー、そして中でも絶滅したモアなどを含む飛翔能力のない、またその進化の過程で繰り返し飛翔能力を失ってきた走鳥類のゲノムを検討した。Sacktonらは系統発生、発達およびエピゲノムに基づく分析を併用して、走鳥類およびシギダチョウ類(極めて近縁の飛翔能力のある鳥類)のゲノム解析を行い、飛翔能力の喪失がDNAの非コード調節領域とより強く関連すること、また蛋白質コード領域の役割を強調していたこれまでの研究結果と矛盾するが、蛋白質コード領域における変化との関連はそれほど強くないことを明らかにした。さらに今回の結果は、調節領域における変化が、多くの鳥類にみられる急速な収束変化を引き起こした可能性を示唆している。

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