News Release

折り紙にインスパイアされた、小さなポップアップ・ロボットが自律的に機能する

自己折り畳みの新しいメソッドによって、複雑なマシ

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

image: This image depicts a profile view of the self-folding crawling robot in three stages. view more 

Credit: [Credit: Seth Kroll, Wyss Institute]

このニュースリリースには、英語で提供されています。

日本の伝統的なアートである折り紙、すなわち"折り畳んだ紙"、にインスパイアされた研究者たちが、複合材料で作られた、平らなシートを自力で折り畳み(セルフフォールド)、這ったり向きを変えたりする複雑なロボットへと作り上げるメソッドを開発した。

「自己折り畳み式で、人の介在を受けずに自律的に動き出すロボットを実作し、このメソッドを実証しました」とハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所(Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering)工学・応用科学部のSam Feltonは語っている。Feltonは、Science 8月8日号に掲載される最新研究報告の主席著者でもある。

本研究において、著者らのロボットは、電子回路を内蔵した紙や形状記憶ポリマー(摂氏100�Cを超えると、形状が変わる)からなる平らなシートが自己組織化(self assembled)することによって、ロボットに組み上がった。フラットな複合物がものの4分ほどで、ダイナックで機能的なマシンに様変わりしたのである。人の介在なしで、毎秒約5.4cm(2インチ超)で地を這い、向きを変えもする。セルフフォールド・タイプの従来のアプローチでは、外部からの追加支援なしに、マシンを機能的に動かすことはできなかった。

この新しい研究によれば、効率的で汎用性の高い今回の新しいアプローチによって、研究者たちは、軽量の割にとても頑強で、様々な大きさの複雑なロボットを素早く作ることが可能である。

この10年、研究チームはこのアプローチでロボット装置の複雑性を高めるための様々な方法を検討してきた。彼らはまず、非常に小さな折り畳みベースのデバイス群の構築から開始した。デザインに内在する様々な課題(たとえば、複雑な形状の折り畳みに要求される様々なテクニックなど)を解決しなければならなかったが、研究チームは継続する重要性、また、より大きく、より一般的なサイズのロボットを作る重要性を認識していた。

「折り畳み方式で組み上げれば、ロボットや他の複雑なメカトロニクス・デバイスの組立工程でよく用いられる"ナットとボルト"から解放され、電子部品、センサー類、アクチュエータ類といったコンポーネントを平面上に配置しておくことができます。」と上記報告の上席著者で、ハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所工学・応用科学部のRob Wood 教授は述べる。

「一般的な製造では高価な機械装置が必要ですし、3Dプリンティングは大量生産には遅すぎます。しかし、2次元の複合材料ですと、レーザーカッターやエッチング処理槽などの比較的安価なツール群を使って迅速に作り込むことができ、折り畳まれ、機能を持ったマシンに組み上がります。このような製造方法は100~1,000ユニットの生産を行うのには最適といえるでしょう。」とFeltonは付け加える。

「層状複合体のこれらのロボットは3Dプリンティングで作られた同等の構造体よりも、速く組み上がり、安価です。」とFeltonはさらに続けた。

マサチューセッツ工科大学の共同研究者たちは、形状記憶ポリマーや自力で折り曲がるヒンジ(蝶番)など、入手しやすい部品や材料を使って、ロボットを作製した。このヒンジ機構には、ヒーター回路が埋め込まれており、この熱が折り曲げ動作を可能にする。複合材料の中のヒンジ群の配置と折り曲げを行う順序にしたがって、3D構造の最終形状を作成するための折り畳みパターンが作られる。

ポリマー素材に詳細な折り線パターンを作る3Dデザイン・ソフトウェアによって、折り畳みの工程は自動化される。ソフトウェアは輪状ひだ内で合わさる折り線、つまり放射状に広がる折り線パターンを生成する。

「"Origamizer"と呼ばれるソフトウェアは輪状ひだを利用して、どんな多面体も作り出せるブロック群を生成します」とFeltonは説明する。「我々はこのアプローチが多種多様の構造体やマシンの作成に使えると気づいたのです。」

今回の事例でいうと、ロボットの剛性やひだ部分がボディを持ち上げ、それが脚を下方に曲げる推進力にもなっている。

細いトンネルや小さなスペースでのナビゲートが可能になれば、自己折り畳み式で機能を持ったマシン群は、配備や探索/救出などのミッションもこなすようになる。「それらは崩壊した建物などの密閉された通路に送りこむことが可能で、そこで目的とする最終形状に自力で組み上がるでしょう」とScienceのシニアエディター、Marc Lavineは語っている。

フラットな状態で大量に出荷され、現場で組み上がるという実態は非常に価値がある。また、様々なタイプの探査のために配備されたり、到着したらIKEAスタイルの家具に組み立てられたり、被災地において自力で迅速に折り畳み式のシェルターに組み上がるなどの用途も考えられる。

小さすぎて人間の手では組立てられないような、極小で新しいデザインの、マシンのラピッドプロトタイピングを組み立てる際にも、この技術は役立つだろう。

関連する研究事例において、コーネル大学のJesse Silverbergは、軽量で極めて強靱かつプログラム可能な新しいメタマテリアルをデザイン、作成するのに、折り紙をベースにした技法がどれだけ役立ったかを報告している。メタマテリアルは原子よりも大きく、彼らが普段作成している構造体よりはるかに小さなサイズのブロック群で構築されているが、「この中間の大きさの構造体を付け加えることで、以前は得られなかった特性を容易に作りだすことができる」と研究者たちは説明している。

研究者らは、宇宙ミッションで用いられるソーラーパネルを効率的に収納するための、特殊なジグザグ型の折り畳みパターンについても研究を進めている。彼らは畳まれたシート群を作りだすパターンを利用し、機械的な特性をコントロールできるようにシート群を構造的に変える方法を考案した。望ましい強度や剛性などの特性を持ったメタマテリアルを作ることが可能になる。

「これらのマテリアルをより複雑なデバイスに組み込めば、オンザフライでの機械的機能の変換が可能になります、」とSilverbergは言う。「折り紙にインスパイアされたこれらのマテリアルと、コンピュータでコントロールされたアクチュエータとを組み合わせ、硬化するシェル、固定されるジョイント、展開型バリアといったより複雑なマシンを作成できるというビジョンを我々は描いています。マテリアルは現在の固定された形態を維持するのではなく、目に映った本来の姿より機能性を発揮するので、このトランスフォーマー技術は究極的には、我々のマテリアルに対する考え方を根本的に変えるでしょう。」

Zhong You(オックスフォード大学、イギリス)による本研究と関連するPerspectiveにおいては、折り紙工学分野での別のアプリケーションの事例が述べられている。

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報道関係者の方へ

報道関係者の皆様は、各論文の見本刷を下記からダウンロードして頂くことができます。

"A Method for Building Self-Folding Machines," by Felton et al.
"http://www.sciencemag.org/lookup/doi/10.1126/science.1252610

"Using origami design principles to fold reprogrammable mechanical metamaterials," by Silverberg et al.
http://www.sciencemag.org/lookup/doi/10.1126/science.1252876)

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関連するテレカンファレンス:

近日発行予定のFeltonによるScience論文について、テレカンファレンスが2014年8月6日(水)12時p.m.(米国東部標準時)より開催されます。テレカンファレンス時に発表されるすべての情報

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*Dr. Sam Felton, Dr. Robert Wood, Dr. Michael Tolley ( Harvard University's School of Engineering and Applied Sciences)
*Dr. Daniela Rus , Dr. Erik Dermaine(the Massachusetts Institute of Technology)
* Dr. Marc Lavine(the journal Science)

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報道解禁前に報道関係者向けのテレブリーフィングの開催が、Scienceおよびその発行者である非営利の国際科学団体である米国科学振興協会(AAAS)、および、ハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所によって予定されています。

Silverbergらによる関連論文とDr. YouによるPerspectiveについては、the Science press packageで閲覧可能です。

音声ファイルとスクリプトは記者会見の後すぐに公開予定です。

報道解禁前に報道関係者向けのテレブリーフィングの開催が、Science およびその発行者である非営利の国際科学団体である米国科学振興協会(AAAS)、及び、ハーバード大学ワイス応用生物学エンジニアリング研究所によって予定されています。


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