News Release

細菌のDNAは、これまで考えられていたよりも多く、ウイルスパッケージの中に分配される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

細菌がお互いに遺伝子を交換する能力は、これまで考えられていたよりも高頻度で生じており、多くの遺伝物質の移行に関与している可能性があることが、新しい研究で示唆された。このような頑健で高頻度なタイプの遺伝子水平伝播(HGT)により、常に遺伝的多様性を生みだし、さまざまな環境に迅速に適応し、抗菌薬耐性などの重要な生存因子をコードする遺伝子を広く分散させる細菌の能力が説明できると著者らは述べている。ほとんどの細菌にみられるウイルス性寄生生物であるバクテリオファージは、HGTの主要な媒体である。ファージは細菌宿主のDNA複製機構を利用して自らのDNAを転写し、開裂させ、カプシド(タンパク質でできたウイルスの殻)に包み込む。その結果、他の細胞に感染できるファージ粒子が作られる。このプロセスの間、一部の細菌DNAも包み込まれて移行する可能性があるが、形質導入と呼ばれるこの機構は、まれで偶発的なものだと考えられている。今回、John Chenらは、これまでに観察されていたよりも1000倍頻度の高い形質導入の様式を明らかにした。Chenらはファージが感染した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ファージゲノムが細菌のゲノムに組み込まれている)を調べ、プロファージがウイルスの生活環の後期まで細菌の染色体から切り出されなかったことを明らかにした。その結果、細菌ゲノムに組み込まれている間にファージのDNAが複製され、ウイルスと細菌のDNAが両方切り出されてカプシドに包み込まれた。ファージは物理的に完全になるまでに自らのカプシドにDNAを詰め込むため、隣接した細菌DNAもカプシドに組み込まれた。細菌はウイルスの切り出し部位の近くに毒性や抗菌薬耐性のための遺伝子を持つことが多い。したがって、形質導入は薬剤耐性の迅速な伝播に寄与し得ると著者らは述べている。著者らは、今回発見した機構が細菌にとって一般的なものなのではないかと考えており、現在、他の種にも広げて研究を行っている。関連したPerspectiveで、Alan Davidsonがこれらの知見の意義について議論する。

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