News Release

ヒト微生物叢に存在する薬物様小分子を発見

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヒト微生物叢においてこれまで明らかにされていなかった、臨床使用されている薬物に類似した産物を生み出す遺伝子クラスターが、新たなバイオインフォマティックス技術により容易に発見できるようになった。MetaBGCと名付けられたこの技術は、抗菌活性に類似した蛋白を産生する遺伝子群を特定することを目的とした、ヒト微生物叢サンプルを用いた「生物資源探査」にとって有用となる可能性がある。ヒト微生物叢はこれまで複数の疾患と関連付けられている一方、疾患に対するその作用を調節するメカニズムと分子については、依然としてほとんど明らかにされていない。研究により、ヒト微生物叢は一連の小分子産物を産生できることが示されているが、これらの小分子の発見および特性解析を目的とした系統的な検討は行われていない。今回Yuki Sugimotoらは、MetaBGCというコンピュータアルゴリズムを開発した。これは、ヒト微生物叢から得られたシーケンシングデータにおいて、直接コードされた生物学的活性を有する小分子を同定するためにデザインされたものである。著者らはヒト微生物叢サンプルを対象に分析を行って、ヒト微生物叢でこれまで報告されていない小分子クラスであるTII-PKS生合成遺伝子クラスター(BCG)の探索を試みた。その結果、著者らは3つの身体部位(口腔、腸管および皮膚)でいくつかの新規TII-PKS BGCを発見し、これによって、このクラスの分子は、ヒト微生物叢の一般的な分離株ではこれまで報告されていなかったが、実際にヒト由来メタゲノムにおいてコードされていることが示された。著者らが発見した新規TII-PKS BGCのいくつかには、近傍の微生物に対する抗菌活性が認められた、と著者らは報告している。この新規技術を用いて、米国、デンマーク、スペイン、フィジーおよび中国の被験者から得たヒト微生物叢サンプルを対象としたさらなる研究のいずれにおいても、その有効性が示された。この新規技術は、一般化可能なプラットフォームを提供してくれる。

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