News Release

オルガノイドがヒト前脳発達の謎へのとびらを開く

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

脳内の領域特異的オルガノイドを利用することで、かつては分子学的研究では手が届かなかった、ヒト前脳の発達における複雑なプログラミングについて知ることが可能になったと、新たな研究で報告されている。この研究結果は、ヒト前脳の発達において、これまで研究できなかった段階での遺伝子のダイナミックな制御に関する新たな洞察をもたらすとともに、さまざまな神経精神障害における転写特性を明らかにしている。ヒト前脳は、ヒトに極めて固有な特性や認知能力の多くを担っている脳内領域であるが、その発達は複雑なプロセスから成っている。細胞および分子レベルにおける、正確に調整された長期にわたる一連のイベントを通じて細胞が分化して、記憶を保存し、意識的な思考を可能にし、人間的な感情を生み出す回路を構成する。前脳の発達を導く上で、エピジェネティックな遺伝子調節が極めて重要な役割を果たしていることが知られている。この高度に調整されたプロセスに対して、環境または遺伝子のレベルで障害がもたらされると、重度の神経発達障害をきたし得る。しかし、発達時のヒト脳組織を研究することは難しいため、現在得られている知見の多くは主として動物モデルによるものである。その結果、ヒト脳で起こっている正確かつダイナミックなプロセスの背景にある分子プログラムに関する我々の理解は限られており、特に発達における極めて重要な段階については分かっていない。この問題に取り組むために、Alexandro Trevinoらはヒト前脳発達の3Dオルガノイドモデルを作製し、複数の重要な発達段階にわたり特定の細胞におけるクロマチンアクセシビリティと遺伝子発現の研究を行った。著者らはこのin vitroアプローチにより、皮質発達を調節する転写因子を同定することができた。さらに著者らは、特定の細胞種について、発達時における神経発達障害の遺伝的リスクをマッピングすることに成功した。

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