News Release

甘すぎがうまくいかない場合

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によって、コウモリ同士の競争とコウモリが花蜜を食べた時に感じる相対的な甘さがどのように花蜜を作る植物を進化させて来たのかが判明した。花蜜を食べる花粉媒介者は糖度の高い蜜が好きな場合が多いにもかかわらず、花蜜を作る植物は低濃度の蜜を作る傾向にあるのはなぜか。今回の研究結果はこの興味深いパラドックスの解明に役立つ。Vladislav Nachevらはこのパラドックスの解明にさらにヒントを得ようと、コウモリと23本のコンピュータ制御の造花で研究を行った。造花にはそれぞれセンサーを付け、蜜の糖度と量を操作する花蜜用ポンプを接続した。シミュレーションでは、花蜜を食べるごとにコウモリは仮想の花粉を次の花へと運び、そこで仮想の子孫の種を作ると考えられた。この方法でNachevらは多数世代の仮想植物での花蜜の糖度の影響を追跡することに成功した。コウモリの数の操作により、コウモリの数が多いほど(すなわち競争が厳しいほど)コウモリは糖度の低い花蜜を食べるようになることが判明した。したがって、競争となるとコウモリは花蜜が濃くなるよりも量が増える方を好み、花蜜が薄まる方向にバランスが変わる。さらに、コウモリの好みに関するデータによって、ウェーバー効果と呼ばれる影響が働き、糖度が上昇すると甘さに対する感覚は鈍ると考えられることが示された。関連するPerspectiveではHamilton Farrisがそれを人の知覚にたとえている。部屋を照らす電球の数が1個から2個に増えた場合は明るさの違いに気がつきやすい。しかし、50個から51個に増えた場合は、その違いに気づくのに多くの人は苦労するとFarrisは説明している。したがって、花粉媒介者の選択は花蜜の糖度のわずかな違いが基準になっており、それが概して糖度の低い花蜜の選択につながる。

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