製剤の主要な構成要素となっている不活性成分は、これまでに考えられていたほど不活性ではない可能性があることが報告された。新しい研究によれば、不活性であると考えられている一部の賦形剤(着色剤、保存剤、充填剤などの薬物の添加剤)は、医学的に重要な分子標的に対して活性を有し、意図せぬおそらく有害な方法で酵素、受容体、その他のタンパク質の機能に影響を与えうる。ほとんどの賦形剤は本当に不活性であるが、この結果は、今後考慮し検討する価値がある賦形剤を特定している。量から考えると、ほとんどの製剤は活性のある薬物よりもはるかに多くの賦形剤を含んでいる。「不活性成分」として分類されているが、賦形剤は薬物動態に重要な役割を果たし、さまざまな適用法において全般的な送達と安定性を促進している。大半の賦形剤の安全性と不活性状態は動物の忍容性試験で評価されることが多く、一般毒性が評価されている。しかし、賦形剤が分子標的と相互作用する可能性については系統的な評価が行われていない。Joshua Pottelらは、大規模なコンピュータを用いたスクリーニングと標的を定めた実験的試験を用いて、承認されている38個の賦形剤のこれまで知られていなかった134の活性を特定し、多くの薬物に使用されている「不活性」成分がin vitroで生物学的に重要な分子に対して直接活性を示すことを明らかにした。Pottelらは、細胞モデルでこれらのうち複数の賦形剤に組織レベルの毒性が予想されるエビデンスが認められたことを明らかにした。これらのほとんどは危険な曝露レベルには達しないと思われるが、結果から、2つの賦形剤、チメロサールとセチルピリジニウムが、ドーパミン受容体D3のin vitro結合活性と重複するin vivo濃度に達しうることが示唆された。この知見は、多くの賦形剤はin vivoで体循環に達しないが、いくつかは体循環に達し、それ自身が予期せぬ薬理作用を示す可能性があることを示している。
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