トマトはある寄生植物の攻撃に対して、そのペプチドを検知することで防ぐことが、新たな研究により示された。寄生植物による農作物の被害は世界的に数十億ドルにものぼるが、一部の植物が侵略者をどのように交わしているかの理解を深めることで、こうした被害を減らす取り組みに役立つ可能性がある。ネナシカズラ属の一種Cuscuta reflexaは、ほとんどの双子葉植物の茎に寄生する寄生植物であるが、トマトの一種Solanum lycopersicumだけがその例外である。植物は時に、疾患を引き起こす微生物を、それらが放出する特有のペプチドによって検知することができ、これにより宿主植物はストレスに関連するホルモンであるエチレンを分泌する。今回Volker Hegenauerらは、植物に寄生する植物に直面した時にS. lycopersicumが同様の戦略をとるのではないかと考え、これを確認した。トマトはC. reflexa eの抽出物に対して非常に高い感受性を示したが、対照とした他の3種の植物はそうではなかった。研究者らがS. lycopersicumと野生種のトマトの自然変異を比較して分析したところ、この感受性の背景となっている受容体が特定され、Cuscuta receptor 1(CuRe1)と名付けられた。他の2種の植物(1種はトマトに非常に近い近縁種、もう1種はより関係の遠い種)の葉で、対応する遺伝子の発現を誘導したところ、両種の植物はともにC. reflexaのペプチドの存在に対して反応し、エチレンの産生に増加がみられ、C. reflexaの寄生に対する抵抗性が高まった。ただし著者らによれば、CuRe1に対する感受性をもたない一部のトマト株もC. reflexaの寄生に対して抵抗性であるため、CuRe1のみに対する感受性ではC. reflexaに対する免疫は誘導されないと指摘している。Vardis NtoukakisとSelena Gimenez-IbanezはPerspectiveで、これらの結果についてより詳細に論じている。
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