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ある有益な細菌が腸内に定着するメカニズム

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ある有益な細菌が腸内に定着するメカニズム How a Type of Beneficial Bacteria Colonize the Gut ある種の有益な細菌が、宿主の免疫系によって産生される蛋白質を利用して腸内に定着していることが、マウスを使った新たな研究で報告された。この所見は、免疫グロブリンA(IgA)と呼ばれるこの蛋白質の新たな機能を示すものである。通常、感染症に関連して研究されているIgAの作用は、病原体を体内から除去するというものである。Bacteroides fragilis(バクテロイデス・フラギリス)はヒトの腸内細菌叢の重要なメンバーの一つであり、動物モデルにおいて炎症症状の軽減に関与することを示唆するエビデンスがある。最近のある研究では、便中に排泄されたB. fragilisがIgAと結合していることが明らかにされた。今回Gregory Donaldsonらは、この関係についてさらに調べることを試みた。以前この研究者らはB. fragilisにおいて、この細菌が腸内に定着するために不可欠の遺伝子ccfを発見した。そこで今回一連の実験により、B. fragilisが腸管の粘膜層に定着することをこの遺伝子がどのように助けているかを評価した。その結果得られた所見の中で著者らは、IgAを産生できないマウスではB. fragilisは腸管粘膜層に沿って集合体を形成していないことが顕微鏡により明らかになった、と報告している。著者らは、IgAで覆われた細菌は、健康なヒトから採取されたものはマウスを疾患から保護したのに対し、炎症性腸疾患または栄養障害のヒトから採取されたものはそれらの疾患をマウスで悪化させたことを示唆した他の研究を引用している。したがって著者らは、疾患のない状態ではIgAは有益な細菌叢の定着を促進するのに対し、疾患のある状態では病原体に対するIgA応答が誘導され(またはその反応が原因となり)、健康な細菌叢が破壊されると主張している。

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