News Release

「コマ」のような形状をした小惑星リュウグウへのはやぶさ2の訪問から得られた初期成果

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

炭素系の物質を主成分とする地球近傍小惑星リュウグウに向けた日本のはやぶさ2ミッションから得られた初期成果が3件の論文で紹介されている。これらの論文による研究成果を組み合わせると、当該小惑星の質量、寸法、形状、密度および地質学的特性が測定されており、小惑星リュウグウは多孔性の「瓦礫の山」であると記述するのが恐らく最善であろう。はやぶさ2によって収集された試料が2020年末に地球に持ち帰られた時、当該試料を理解するために要求される直接的な地質学的文脈もまた、これらの観測から収集されたデータから得られるであろう。渡邊誠一郎氏らは小惑星リュウグウの質量、形状および地形の初の近接観測を紹介している。渡邊氏らによると、内部が低密度で高度な多孔性であることから、当該小惑星は緩やかに集まった岩石から成る「瓦礫の山」であり、高速回転していた時期にコマのような形状になったことが示唆される。渡邊氏らによる当該小惑星の遠隔観測から、試料収集に最適なはやぶさ2の着陸地点候補をこの論文の著者らは明らかにしており、当該試料収集の結果、小惑星リュウグウがコマのような形状になった理由についてさらに情報が得られると思われる。北里宏平氏らははやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)を使用して、小惑星リュウグウの表面組成を調査し、この暗い色の小惑星の表面全体にわたって含水鉱物が遍く存在していることを発見した。小惑星リュウグウの表面について以前に行われた望遠鏡による分析では、当該小惑星の炭素含有という特質が示唆され、水による化学変成の証拠を示す炭素質コンドライト隕石が組成上類似していると示唆されていた。しかしながら、詳細なスペクトルデータが欠如していたため、正確な組成を明らかにすることが困難だった。著者らは、はやぶさ2が当該小惑星に接近する際、NIRS3によるスペクトルデータを収集し、当該小惑星表面から最低で高度1kmから測定している。当該測定の結果によると、収集されたスペクトルは既知の熱ないし衝撃によって変質した炭素質コンドライト隕石に最も類似している。上記2件の研究から得られた成果を組み合わせるとともに小惑星リュウグウの地質を観測して、杉田精司氏らは小惑星リュウグウの起源を制約することを試みている。杉田氏らによると、当該小惑星は母天体であるより大きな小惑星から衝突によって放出された瓦礫が合体して形成された可能性が高い。

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