新しい研究によると、コウモリの赤ちゃんの喃語発声行動は人間の赤ちゃんが喃語発声と非常に似ているという。この研究は「赤ちゃんコウモリの喃語発声を初めて正式に分析したもの」と著者らは述べている。人間の場合、発話には発声器官を精密に制御する必要があり、それによって、コミュニケーションに必要な全ての音が出せるようになる。赤ちゃんや幼児は喃語を発しながら、発声器官の動きを制御して、人間の言語の特徴である母音(クーイングやグーイングなど)・子音(「バ」や「ガ」など)・リズミカルな反復(「ダダダ」など)を模倣した音を出すことで、言語音を練習している。しかし音声学習を行うのは人間だけはない。人間以外の哺乳類でも、かなり少数の種ではあるが、喃語を発するというエビデンスがあり、そのうちの1種がオオシマサシオコウモリ(Saccopteryx bilineata)である。オオシマサシオコウモリの喃語発声行動は人間の赤ちゃんのそれと似ているが、コウモリの喃語発声行動については正式な評価が行われていない。Ahana Fernandezらは、20羽の野生コウモリの赤ちゃんの発声を記録して、それらの喃語発声行動を調査した。彼らはこのコウモリの赤ちゃんの喃語の特徴を人間の赤ちゃんの喃語の特徴と比較し、その結果、コウモリの赤ちゃんの喃語発声行動を示す明白なエビデンスを発見するとともに、その喃語発声は人間の赤ちゃんの喃語発声と驚くほど似ていること ―― 規準音節とリズミカルな繰り返しの模倣など、8つの特徴が同じ ―― も確認した。Fernandezらによると、これらの共通する喃語発声の構成要素については、音声学習を行う他の哺乳類においても類似する明確な仕組みがあると思われるという。自分たちの研究結果は、喃語発声行動の根底にある認識および高分子機構や適応機能についてのさらなる研究への道を開いたと彼らは述べている。
Journal
Science
Article Title
Babbling in a vocal learning bat resembles human infant babbling
Article Publication Date
20-Aug-2021