News Release

地質学的時間スケールにおいて海水温が海洋生物多様性に与える影響

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、新生代の温暖な海には、似通った機能的役割をもつ種が数多く生息していたという。この研究の結果、海水温によって生物多様性や生物地理学的パターンが地質学的時間スケールで変化する仕組みが明らかになった。過去における生物多様性パターンの変化を研究することは、現在進行中の人為的な気候温暖化が生態系に及ぼす長期的な影響を理解するうえで有用である。生物多様性の空間的・時間的な構成は、ある地域における「種の豊かさ」(種の総数)と「機能の豊かさ」(種間で共有される共通の機能形質の数)の経時変化によって測定できる。種の豊かさの経時変化に関するパターンについては多くのことがわかっているが、機能の豊かさに関するパターンについてはあまり知られていない。最近の海洋生態調査により、熱帯・亜熱帯地域では機能的冗長性(複数の種による機能的役割の重複)が高いことが示され、気候つまり温度の緯度勾配がこの測定結果をもたらしている可能性が示唆された。この相関関係を理解することが重要である。なぜなら、現代の生態学的研究では、将来の環境変化に対する生態系の回復力が機能的冗長性によって強化される可能性が示唆されているからである。およそ4000万年に及ぶニュージーランドの浅海軟体動物の化石記録を用いて、Tom Womackらは、地質学的時間スケールにおける種の豊かさと、機能的冗長性と、海水温との間に正の相関関係があることを実証した。Womackらは、海水温が高い期間は豊かさも冗長性も増加したことを見出し、生物多様性の空間的・機能的な構成と温度との間に長期間持続する相関関係があることを明らかにした。著者らは、「文字通りに受け取ると、われわれの研究結果は、海水温がニュージーランドにおける種の豊かさと機能的冗長性を長期にわたり増加させたことを示唆している。特に更新世以前を代表する気候に移行するにつれて、それが顕著に見られた」と述べている。


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