News Release

子どもの遊びを誘発する床面投影型システムの提案

Peer-Reviewed Publication

Kobe University

図1

image: システム体験の様子 view more 

Credit: 撮影:守屋 広大

神戸大学大学院人間発達環境学研究科の稲垣成哲教授、多摩美術大学楠房子教授、東京理科大学溝口博教授らの研究グループは、子どもの社会的な成長を促す魅力的な遊びを提供するシステムを開発しました。具体的には、参加者の児童の動きに対応して、フロアに投影された動物の足跡が動くシステムです。今回、神戸大学附属小学校の児童を対象として実証実験を行い、システムが提供するインタラクションの在り方が児童へ及ぼす効果を明らかにしました。

この研究結果は、9月10日に「International Journal of Child-Computer Interaction」のオンライン版で先行公開されました。

ポイント

  • 子どもに魅力的な遊びを提供するシステムが求められている。
  • より良いシステムの探求として、インタラクションの在り方に着目した研究は存在しない。
  • 本研究では、魅力的な遊びを提供するシステムを開発し、インタラクションの在り方が及ぼす効果について検証した。

研究の背景
幼少期から児童期における遊びは、子どものコミュニケーション能力や感情表現等の発達を促します。そのため、子どもを遊びに引き付ける機会を提供することは社会的に重要な課題です。そこで、本研究では魅力的な遊びを提供するインタラクティブな床面投影システムを開発しました。

研究の内容
目的:
本研究は、より魅力的な遊びを提供するシステムの探求のために、インタラクションの在り方に着目して、本開発システムが提供する現実的なインタラクションと非現実的なインタラクションの効果の違いを検証しました。
参加者:
神戸大学附属小学校に所属する小学3年生20名、4年生10名(男性14名、女性16名)が本研究に参加しました。
評価実験:
システムの有効性を評価するために、システムが魅力的な遊びの各要素(興味・想像力・愛着・没入感)に及ぼす効果を検証しました。参加者は、システムによって提供される2種類(現実的・非現実的)の足跡を体験しました(図1)。
評価方法:
本システムの効果については、質問紙調査および視線計測を用いて評価しました。質問紙調査は興味・想像力・愛着・没入感に関する計20項目の設問で構成されており、回答形式として7段階リッカート尺度を用いました。参加者は各動作の体験後に回答しました(図2)。また、アイトラッカーを用いて、システムで提供される足跡とのインタラクションを体験している児童の視線を計測しました(図3)。
結果と考察:
質問紙調査の各項目において、2種類のシステム間で生じる回答の差異について検定を行いました。その結果として、非現実的なインタラクションは現実的なインタラクションと比較して、より想像力を促す傾向にあることが示されました。また、視線計測を行った結果に関しても、同様の傾向が示されました。以上より、非現実的なインタラクションはより魅力的な遊びを提供する傾向にあることが明らかになりました。

今後の展開
現在は、より多くの人が同時に遊べることを可能とするために、複数のシステムを連携させる研究を行っています。このようなシステムを実現することで、子どもたちの社会的な成長をより促進させることを目指しています。

謝辞
JSPS科研費(JP18H03660)の助成を受けました。評価実験にご協力いただいた神戸大学附属小学校に感謝の意を表します。

論文情報
タイトル:

“Playing with Invisible Animals: An Interactive System of Floor-projected Footprints to Encourage Children’s Imagination”
DI:10.1016/j.ijcci.2021.100407
著者:
Kodai Moriya, Takaya Iio, Yukiya Shingai, Tomoharu Morita, Fusako Kusunoki, Shigenori Inagaki, Hiroshi Mizoguchi
掲載誌:
International Journal of Child-Computer Interaction


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