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土壌微生物叢は劣化した土地を回復する鍵となるか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

土壌微生物は、人間の活動や気候変動によって損なわれた、土壌中の重要な生態系を回復する鍵となるかもしれない。今回のReviewではOksana Cobanらが、劣化土地の土壌機能を回復するうえで土壌微生物叢が「ゲームチェンジャー」となる可能性を示唆した、最近の研究を取り上げている。地球の土壌は、大量の生物を支える重要な役割を果たしている。土壌は水資源をろ過し、貯蔵する。さらに、植物が成長し、膨大な数の多様な生物が生息するための基盤を提供する。土壌が提供する重要な生態系サービスの多くは、土壌生物と、土壌の生物地球化学的・物理的側面との間に見られる、動的な相互作用によって生じる。健康な土壌生態系はたいてい自らを維持できるが、土地管理や気候が変化すると、土壌機能や土壌が支える生態系サービスに多大な影響が及びかねない。また、人間の活動によって土地が劣化すると、水循環において中心的役割を果たしている土壌の水文的機能に影響が及ぶ。土壌に生息する微生物が土壌の水文に影響を及ぼすことは知られているが、土壌の形成・維持における土壌微生物叢の役割は十分にはわかっていない。最近では、最先端の土地回復技術に土壌微生物叢が利用できることを裏付けるような証拠が増えている。Cobanらは、こうした証拠について概説している。また、土壌の物理的・水文的特性の回復に利用できる可能性が最も高い微生物叢グループについて論じるとともに、人間の活動や気候変動によって劣化した土地の回復・管理に向けて、今後の長期戦略に微生物叢を利用する方法についても論じている。「土壌微生物と水文力学の相互作用を理解できれば、土地回復の基礎を築いて、土壌と植物の生態系に回復力を取り戻すことが可能だろう」とCobanらは述べている。


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