News Release

市民レベルの地震観測が2021年の壊滅的なハイチ地震とその余震に関する洞察を提供

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ボランティア市民の家に置かれた簡単な地震観測装置のネットワークは、2021年にハイチのニップ県で発生したマグニチュード7.2の地震とその後の余震について、迅速な評価と特性分析を行う助けとなった。このことは、一般市民が稼働する安価でローテクの地震観測装置が、大地震について理解する上で、特に通常の地震観測ネットワークのない遠隔地域や低開発地域では有用であることを示している。2021年にハイチ半島南部を襲ったニップ県の地震は、推定で140,000戸の住居が破壊され、数千人の死者が発生した。大規模で被害の大きい地震の歴史が示すように、地震発生のリスクが高い地域であるにもかかわらず、ハイチには高度な地震観測所がごくわずかしかない。しかし、2021年のニップ県の地震では、これまで同地域で発生した地震の場合とは異なり、2019年に設置された市民による地震観測ネットワークのおかげで、科学者たちは今回の地震の発生機構を理解し、余震についてほぼリアルタイムでモニタリングすることが可能になった。今回Eric Calaisらは、安価で維持の容易な地震観測装置「ラズベリーシェイク(Raspberry Shake)」を用いて構築された市民の地震観測ネットワークにより得られたデータについて報告した。この装置は、広く利用可能なラズベリーパイ(Raspberry Pi)というオープンソースのコンピュータ技術に基づいたものである。Calaisらによれば、市民による地震観測ネットワークは、地震についてその規模、破壊の地理的分布、および破壊の機構について特徴を明らかにする上で極めて重要なデータを補うものである。本震の震源地に近い市民レベルの地震観測装置からのデータにより、研究者らが余震による被害の可能性について、地震カタログに基づく従来の方法と同様の正確さで予測することを可能にした、とCalaisらは述べている。「今回の事例は、市民レベルの地震観測が、震源地近くに従来型の地震観測所が存在しない場合に、大規模で壊滅的な地震について解明する上で直接貢献することの重要な実例であり、これにより市民レベルの地震観測が地震に対する迅速な対応にとって付加価値をもたらすことが示されている」と、Calaisらは記している。


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