News Release

3種類の同位体酸素の記録から過去8回の氷河サイクルにおける地球全体の生産性が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、80万年間におよぶ過去8回の氷河サイクルにおいて、海洋・陸上生態系によって吸収された二酸化炭素(CO2)の総量は、大気中CO2の増減と密接に関係していたという。地球全体の陸と海が大気から吸収するCO2の量は、全球一次生産量(GPP)とも呼ばれ、大気中CO2の取り込み量としては最大であり、地球全体の炭素循環において重要な意味をもつ。これまで、大気中CO2の変化に対するGPPの反応を予測するのは難しかった。しかし、この反応を理解することは、将来の気候変動を予測するうえで欠かせない。氷河サイクルは、変化するCO2濃度に対する大規模な生態系反応を研究するための、自然の実験室となる。氷河サイクルに関するデータの多くは、氷床コアに閉じ込められた空気の測定に基づいている。Ji-Woong Yangらは、氷床コアに閉じ込められた古代の気泡中の酸素同位体特性を分析することによって、80万年間にわたる地球全体の生物圏生産量の変化を再現した。その結果、過去8回の氷河サイクルにおいて、GPPは間氷期に比べて氷期のほうが常に少なく、ほとんどの場合、氷河期終了の数千年前に増加し始めたことが示された。そのうえ、こうした変化は大気中CO2濃度の変化に連動して起こったと思われることから、CO2が地球全体の生物圏生産量に大きな影響を及ぼしていることが示唆された。著者らによると、今回の結果は、広範囲に負のフィードバック機構が存在することを裏付けるものであり、CO2濃度が低いと地球全体の生産量が低下し、さらなるCO2の減少が抑えられるという。関連するPerspectiveでは、Corinne Le QuéréとNicolas Mayotが「Yangらの分析によって、地球規模のCO2施肥が重要であることが裏付けられ、その効果の大きさが制約された」と述べている。「不明な点はまだ多いが、CO2施肥の減衰フィードバックは今後数十年で減少する一方で、炭素貯蔵に対する気候の増幅フィードバックが増加し続けることは明らかである。」


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