News Release

がんゲノムの大規模全ゲノム解析から新規の稀な変異シグネチャーが明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

12,000以上のがんを対象とした大規模全ゲノム解析から、これまでに報告されていなかった変異シグネチャーが明らかにされ、これには稀な腫瘍特異的シグネチャーも含まれていた、と新たな研究で報告された。これらの結果は、各がん種において変異シグネチャーに高頻度のものと稀なものを区別するという考え方を導入するだけでなく、このような知見をいかに利用してがんの治療および診断の個別化を促進できるかについても示している。がんゲノムは多くの場合、数千もの遺伝子変異の雑多な混合物である。現在の全ゲノムシークエンシング(WGS)法は、がんゲノムの包括的な解析を可能にし、個々のがんを特徴付ける変異の組み合わせを明かにしてくれる。変異シグネチャーとも呼ばれるこうした組み合わせのパターンにより、腫瘍発生をもたらす遺伝子変異のプロセスを説明することができる。これまでに、がんにおける多くの変異シグネチャーが報告されている。こうした知識ベースに対して大きく貢献するものとしてAndrea Degasperiらは、Genomics England 100,000 Genomes Projectの一環としてイングランド全土のUK National Health Service Genomic Medicine Centerで登録された患者に由来する、WGSの対象となった12,222ものがんについて変異シグネチャーの解析を実施した。その結果を、既存の2つのより小規模なオープンアクセスがんWGSデータセットであるInternational Cancer Genome ConsortiumおよびHartwig Medical Foundationのデータと比較したことで、Degasperiらの解析にはWGSの対象となった合計18,000以上のがんが含まれることとなった。その解析の結果、これまでに報告された多くの変異シグネチャーが確認された一方、これまでに知られていなかった稀な変異シグネチャーが同定され、40の一塩基置換および18の二塩基置換が現在の変異シグネチャーの包括データに加えられることとなった。今回の研究で著者らは、腫瘍の各タイプについて、がんは限られた数の高頻度変異シグネチャーと、集団内において低頻度で発生する、いくつかの稀な変異シグネチャーを有していることを明らかにした。このデータセットはまた、がんの基礎にある原因、例えば喫煙や紫外線への環境曝露、あるいは体内の細胞機能不全などについて、手がかりを提供している。


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