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西南極氷床の下には膨大な量の化石海水が貯蔵されている

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

南極氷床の底に沿った氷河下水系の下に地下水が貯蔵されていることを示す直接的なエビデンスは捉えるのが困難であったが、研究者らは今回、そういった地下水の貯蔵庫を西南極のウィランズ氷流の下で観測した。この貯蔵庫が蓄えている水の量はここを覆っている氷河下水系が蓄えている量の10倍以上と推測されると、研究者らは述べている。この発見によって、南極氷床の動態に対する水流の影響を解明するには、地下水水文学が極めて重要な要素になり得ることが強調された。氷河下の水は、「氷河下水系」として知られる氷河下の配水網を通って南極氷床の底に沿って移動する。この氷河下水系の水流は氷床と基盤岩の間の潤滑剤となったり、氷河の下の湿った堆積物を変形させたりし、そういった過程によって氷の動きの調節に重要な役割を果たしている。これらの2つの過程を通して、氷床の底の水は南極氷床の動態を左右すると同時に、おそらく海面上昇にも寄与しているのである。今日まで、氷河下水系は氷床の底やそのすぐ近くに水がある浅い水系とされてきた。Chloe Gustafsonらは今回、ウィランズ氷流で集めたマグネトテルリックおよび受動地震データを使って、氷河下水流の深部に初めて地下水を観測した。彼らは、ウィランズ氷流の下の氷河下堆積物には氷河からの化石海水と淡水が混ざり合って大量に染み込んでいると述べている。この地下水は深さ1キロ以上にまで広がり、上の浅い水系の10倍を超える量があって、浅い水系の水と活発に入れ替わっている。したがってこれは、氷流と氷河下の生物地球化学的反応を変える可能性がある。「南極の氷流の下にある他の海洋堆積盆地の中にも同様の地下水系があると推測している」と著者らは述べている。「氷床の動きに対するこの地下水の影響を解明するには、これを次世代の氷床モデルに組み込む必要がある。」関係するPerspectiveではWinnie Chuがこの研究結果について詳しく解説している。


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