2022年1月のフンガ・トンガ火山噴火に関する2つの研究の観測によって、1883年のクラカタウ噴火と同程度のエネルギーを放出した複雑な大イベント、この史上最悪の最も破壊的な火山イベントの1つについて詳細が明らかになった。この観測からはまた、この噴火によって発生した津波の一部は予想外の大気波によって引き起こされたことも判明した。この一連の観測は、このイベントの詳細解明と大気と海による波の伝播の理解に役立つだろう。2022年1月15日、南太平洋のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの小さな無人島で大規模な火山噴火が発生した。フンガ・トンガ噴火は記録上最も強力な噴火の1つで、その爆発音は噴火地点から10,000キロを超えた場所でも聞こえた。1つ目の研究ではRobin Matozaらが、この噴火の特徴であるインフラサウンドと地震波の記録、および他の地球物理学的観測記録を提示している。エネルギーの大きな大気イベントの特徴である大気ラム波が地球を4周した。これは1883年のクラカタウ噴火と類似する。この噴火はまた、長距離に達するインフラサウンドや電離圏相互作用を発生させたとともに、世界各地で津波も引き起こした。津波に焦点を当てた2つ目の研究では久保田達矢らが、従来の津波で予想されるより2時間以上早く到達した第一波から、津波の「前駆波」の発生と伝播のメカニズムを調査した。一般的に、火山噴火で起きる津波は地殻変動からの海水の移動と津波とほぼ同じ速度で伝播する大気圧波によって発生する。久保田らは、フンガ・トンガ噴火ではさまざまな種類の大気圧波‐ラム波‐も津波伝播の一因であったことを発見した。この相互作用が予想よりかなり早い津波の到達をもたらしたのである。今後の津波モデルにはこの現象も組み込むべきだと久保田らは述べている。
Journal
Science
Article Title
Atmospheric waves and global seismoacoustic observations of the January 2022 Hunga eruption, Tonga
Article Publication Date
12-May-2022