News Release

河道が急変するタイミングと場所はどういった要因に左右されるのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

世界各地での河川の衛星観測によって、アバルジョンに関与する主な要因が判明した。アバルジョンとは、河川が既存の流路を突然放棄して別の流路で流れ出し、結果として壊滅的な洪水になるというまれに発生するイベントである。この研究結果から、アバルジョン発生の危険が気候と土地利用の変化でどう変わるか ―― 上流地域はこれまで経験したことがないような洪水の危険にさらされる ―― が明らかになったとともに、アバルジョンが今後発生する可能性のあるタイミングと場所を予測する際に役立つ枠組みも得られた。氾濫原や三角州を流路がゆっくりと蛇行移動するのとは違い、アバルジョンははるかに過激で、大きな河川が突然流路を変え、その土地に新たな流路ができる。時々起こるこれらのアバルジョンは三角州のような河成地形を形成する主要イベントである一方で、歴史に残る壊滅的な洪水の原因でもある。例えばインドのコシ川扇状地で2008年に発生したアバルジョンは、数百名が死亡し、約300万人がその土地を立ち退くような洪水をもたらした。しかし、河系でのアバルジョンの自然発生間隔は数十年から数千年なため、このイベントを直接観察できる機会はめったになく、その結果、アバルジョンの発生する場所と気候変動と人間活動に対する反応を左右する要因はほぼ分かっていない。Sam Brookeらはこれらの不明事項を解明しようと、50年にわたる衛星画像と世界中の河川で発生した113件のアバルジョンの記録を使用した。実験から得た結論と理論上の結論は一致しており、彼らは、多くのアバルジョンは河川 ―― 流れも水路勾配も緩やかな沿岸を流れる河川の最下流部 ―― の背水区間の水路勾配や堆積の変化と関係があることを発見した。しかし、通常予測されるよりもはるかに上流でも多数のアバルジョンを見つけた。これらのアバルジョンは、熱帯および砂漠環境の急勾配で堆積物の多い河川で最も頻繁に発生していた。Brookeらによると、これらのアバルジョンはおそらく洪水が引き起こした浸食によるもので、土地利用や気候の変化によって増加することが予想されるという。結果として、こういった過程によってこれまでアバルジョンを経験してこなかった上流でアバルジョンが頻発するようになる可能性がある。「効果的な分流路の設置には自然なアバルジョンのタイミングや場所を総合的に把握する必要がある」と関係するPerspectiveでPaola PassalacquaとAndrew Moodieは書いている。「そうすることでアバルジョンの予測は向上し、政府や意思決定機関が河系レベルで介入する際に使用できるロバストな予測が可能になる。」


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.