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除草剤グリホサート曝露はマルハナバチのコロニーにおいて巣内の温度調節能を障害する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

グリホサートは世界で最も広く用いられている除草剤の一つであるが、これに曝露されるとマルハナバチのコロニーにおいて巣内の温度を維持する能力が、特に食餌資源が不足している場合には大きく障害される可能性があると、研究者らが報告している。この結果から、ほとんど見過ごされているがグリホサート使用による隠れた間接的な被害が存在することが示されており、このことは、すでに生存が脅かされている重要な花粉媒介昆虫の減少をもたらす可能性がある。世界中で昆虫の減少がみられているが、この傾向の原因は、除草剤および殺虫剤の使用を含めた人間由来の無数のストレッサーによるものとされている。こうした減少、特にハチのような重要な花粉媒介昆虫の減少は、世界規模で生態系および経済に対する大きな脅威となっている。グリホサートは、脊椎動物に対する致死的作用がないとして市販されている。しかし、それがミツバチに対して、致死的ではないが生理学的および行動学的に有害な作用を及ぼしていることを報告する研究が増大している。にもかかわらず、グリホサートが約2万種もの野生種のハチに対してどのような影響を及ぼしているのかは、いまだにほとんど分かっていない。このような知識の欠落を埋めるため、Anja Weidenmüllerらはグリホサートへの長期曝露がマルハナバチに及ぼす影響について調べた。その結果Weidenmüllerらは、環境中のグリホサートへの実際の曝露は直接に致死的な作用をもたらしはしないものの、この曝露によって、同時に食餌資源が不足している場合は、コロニーのメンバーによる巣内の温度調節能力が大きく障害されることが明らかになった。巣内の温度を維持することは、コロニーの生存にとって不可欠であり、卵の発育における最も重要な因子である。この研究の結果によれば、巣内を必要な温度に維持するコロニーの能力は、食餌資源が不足している期間中には25%以上も低下した。「Weidenmüllerらの研究において実用的となり得る利点は、十分な食餌資源があればグリホサートの影響を軽減できるということであり、このことは花粉媒介昆虫の巣作りとその生息環境を、効果的な農業環境の中に組み入れることに意味がある可能性を示している」と、James Crallは関連するPerspectiveで記している。


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