News Release

海洋温度は沿岸魚種の捕食の緯度勾配をもたらす

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

115度にわたる緯度帯の2つの海域で実施した反復実験を取り上げた新しい研究によると、海水温の高さが魚の捕食率を上げるという。その研究によって、高緯度の冷たい海域よりも赤道付近の温かい海域の方が捕食者の捕食率は高く、捕食者が与える影響も大きいという温度に依存する緯度勾配が判明した。この研究結果は、今後の気候温暖化が沿岸の海洋生物群落のトップダウン制御に対して予測どおり影響を及ぼすと考えられることを示唆している。「トップダウン制御のこのような大規模な変化は、生態系構造・多様性・生物地球化学プロセス・人間社会に対する重要な生態系サービスの提供を維持するにあたって種の相互作用が果たす重要な役割を考えると、広範囲に影響を及ぼす可能性がある」と本研究の著者らは書いている。多数の分類群の種は一般的に赤道に近い方が豊かである。生態学者らは長い間、この生物地理学的パターンは緯度の低い熱帯での捕食や競合といった種の相互作用の強さに関係していると考えてきた。しかし、そういった仮説の検証に必要な空間的に大規模で多数の生息地も網羅した最近の研究は限られている上に、研究から出される実験に基づいたその仮説の支持にも矛盾があった。その結果、地理的に大規模に、特に様々な緯度地帯で、捕食が餌の群落構成にどういった影響を及ぼすかについては実際にはほとんど分かっていない。これの解明は、気候温暖化に対して生物多様性・生態系機能・回復力がどう反応するかのパターンを知る手助けになると考えられる。Gail Ashtonらは海底の海洋生物群落に対する捕食は緯度が低いほど多いかどうかを調べるために、115度にわたる緯度帯の南北アメリカの太平洋および大西洋沿岸の36ヵ所で一定の規準に沿った反復実験を行った。関連のない3つの捕食の構成要素を測定した実験では、海底に固着する海洋無脊椎動物群落に対する魚とその他の移動性大型捕食者の影響を評価した。Ashtonらは、海洋捕食者は赤道により近い温かな熱帯の海の方が底生性生物群落の消費率が高く、その群落の生物量と種組成に与える影響も大きいことを発見した。これらの現象は様々な緯度地帯で海水温とともに減っていた。この研究結果によると、捕食について観測された傾向は緯度よりも海水温との関係が強く、このことは現在の海洋温暖化に対する海洋生態系の反応に影響を及ぼす可能性があるという。


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