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新たな神経膠腫治療薬は、DNA修復異常を利用して選択的に薬剤耐性腫瘍を標的とする

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たなクラスの神経膠腫治療薬は、DNA修復酵素MGMTを欠損した腫瘍を利用する。これらの薬剤は、細胞傷害性のDNAを生成し、耐性のリスクを生じさせることなく腫瘍細胞を選択的に死滅させると研究者らは報告している。この新たなアプローチは、新しい神経膠腫治療につながる可能性があり、特定のDNA修復異常を利用して薬物抵抗性腫瘍と闘う治療薬をデザインするための新たなパラダイムとなる可能性がある。増殖が速く、悪性度の高い神経膠芽細胞腫(GBM)は、もっともよくみられるタイプの悪性脳腫瘍である。また、最も致死的な癌の1つであり、診断後5年間生存できる患者は20人中わずか1人である。この癌は放射線療法と化学療法剤テモゾロミド(TMZ)を併用して治療するが、多くの患者で薬物耐性が生じる。そのため、新たなGBM治療が緊急に必要とされている。多くのGBMおよび神経膠腫腫瘍は、DNA修復タンパク質MGMTを欠損しており、これが薬剤耐性獲得能力に関与する特性となっている。今回、Kingson Linらが、このMGMTの欠損を利用してGBM腫瘍細胞を選択的に死滅させる新しい治療アプローチを発表した。Linらは、機構に基づくデザイン法を用いて、動的な一次DNA病変を生じさせるTMZ類似体を開発した。MGMTを介したDNA修復機構が完全な健康な細胞はこの病変を修復できるが、MGMTを発現していない癌細胞はこの病変を修復できない。このような癌細胞では、一次病変が徐々に進行し、より毒性の高い二次DNA病変となり、その結果、MGMT欠損腫瘍細胞が選択的に殺傷される。Linらは、TMZ耐性ヒトGBMマウスモデルを用いて、in vitroおよびin vivoで、薬物誘発性の選択的腫瘍細胞殺傷が、許容可能な毒性プロファイルを示すことを明らかにした。関連するPerspectiveで、Roger ReddelとAdel Arefが、この研究の知見についてさらに考察する。


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