News Release

犬ジステンバーウイルスは黒い毛のオオカミの選択を促進する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、犬ジステンバーウイルス(CDV)の流行はオオカミの毛色と交尾行動の進化を促進し得るという。この研究結果は、北米の大規模な疾病流行データとイエローストーンの象徴的なオオカミ群の長期観察を組み合わせたもので、CDV流行中に黒い毛のオオカミは灰色の毛のオオカミより死亡リスクが低かったことを明らかにしている。しかし研究者らは、黒い毛のオオカミはCDV流行を生き残る可能性が高い一方で、繁殖成功率は灰色の毛のオオカミより低いことを発見した。CDCはオオカミを含む大半の肉食動物が感染し得る伝染性呼吸器系疾患で、1回の出産で生まれた子供らを全滅させ、感染しやすい大人も死亡させる場合がある。流行は野生生物集団にかなりの影響を及ぼし得る。病原体の進化と動物集団における新種の病気の出現についてはよく知られているが、宿主抵抗性やそれが他の個体にどのように伝達され、その後、維持されるのかについてはほとんど分かっていない。多数の種において、色は、たとえば標高・天候・入手可能な食料もしくは捕食者の存在といった環境要因と共に変化する。それはまた、個々の健康状態や免疫状態を示すこともある。Sarah Cubaynesらは今回、北米各地で確認された黒い毛のオオカミの出現頻度の変化がCDVとの関係に起因するかどうかを調べた。黒いオオカミのCDV耐性に関係する遺伝子はホモ接合型かヘテロ接合型だということは分かっている。Cubaynesらは、北米各地の12のオオカミ個体群から得たクロスセクションデータ、イエローストーン国立公園の再導入オオカミから得た時系列データ、およびモデル化を使用して、CDV流行の頻度が揺動淘汰を起こすことを発見した。この揺動淘汰では、ヘテロ接合体が優位となり、ひいては黒の対立遺伝子の頻度に影響するという。CDV流行地域では、これによって黒い毛のオオカミが交尾相手に選択されることになる。しかしCDVのない地域では、灰色の毛のオオカミのほうが交尾成功率は高い。


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