News Release

攻撃の動機が脳内で制御される仕組みを解明した受賞者の研究

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Ann Kennedyは攻撃性と脳が攻撃の動機を制御する仕組みを解明する際の新たな手掛かりを提示した研究で、2022年Eppendorf & Science神経生物学賞を受賞している。攻撃にはさまざまな形態があるが、そういった行動は多数の動物種に見られる。しかし、勝者でさえ重傷を負って立ち去ることがあるように、闘争することは個体にとって多大な犠牲を伴う可能性がある。それゆえに、攻撃に入る前に威嚇したり、威嚇姿勢をとったりするのが一般的 ―― そして安全 ―― で、実戦は必要な場合に限られる。このような状態の攻撃性は動機付けがなされた典型的な状態で、持続性があって、激しさも段階的である。つまり、威嚇や相手を怯えさせる必要がなくなるまで激化し、維持される。しかし、脳内でこれが遂行される仕組みは分かっていない。これまでの研究から、視床下部腹内側核腹側外側領域(VMHvl)がマウスの攻撃性の制御に関与していることは分かっている。Kennedyらはこの仕組みをさらに深く解明すべく、頭に装着する小型マイクロ内視鏡を使って、マウスが自由に他者と関わり合っている時のこの領域のニューロンの活動の特徴を明らかにした。彼女らはこれらのニューロンの活動とマウスの闘争時の関連は非常に弱かったことを発見したが、マウスが他者と様々に関わり合う中で、ニューロンの活動強度の変動が穏やかな社会的遭遇の間はニューロンの小集団が持続的に活性化していたことも明らかにした。この活性化パターンが弱い時にはマウスは互いに探り合ったり無視し合ったりしていたが、このパターンが強くなると優位を示すマウンティングといった行動など攻撃的姿勢が強くなった。最大限度に達すると、あからさまな攻撃を見せ始めた。Kennedyは、こういったシグナルは攻撃の動機付けレベルを反映していると示すとともに、VMHvl内の拡大縮小可能で持続的なニューロンの活動が動物の動機付け状態を決めるメカニズムだと述べている。この賞の最終選出者は、Kevin Guttenplan、論文は「なぜニューロンは死ぬのか:星状膠細胞が神経変性の主要メディエーターとして浮上」と、Filipa Cardoso、論文は「脳と脂肪の関係:タイプ2の生得的リンパ系細胞が脳と体をつなぐ回路を通して代謝作用を形成する」であった。


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