生態学的に類似する環境での長期の地理的隔離によって新たな種が生まれる

1,000を超える様々な脊椎動物種から得た形質データによると、新しい種はしばしば、異なる環境からの選択圧ではなく、生態学的に類似する環境での長期にわたる地理的隔離によって生まれるという。この研究結果は、分岐適応を種分化初期の主な推進力とする古典的見解とは対照をなしている。大多数の種分化イベントが異所的段階‐1つの種個体群が明らかな新種に分岐するほど長く地理的に隔離される期間‐を必要とするというのは広く合意されているが、生態学的分岐がこの重要な異所的段階を推進するかどうかは分かっていない。Sean AndersonとJason Weirは異所的種分化において分岐的な生態学的適応が果たす役割について解明を進めるべく、鳥類の異所的姉妹種（種分化しつつある、もしくは、最近種分化した分類群）129対から得た新しいデータと、様々な他の鳥類、哺乳類、両生類の異所的姉妹種14対の公開データを組み合わせた。彼らはその形質データを用いて分岐適応の異所的種分化への相対寄与をモデル化し、分岐的な生態学的適応は異所的分岐期には比較的小さい推進力であること、また、大半の種が類似する選択圧の下で進化する傾向にあることを発見した。AndersonとWeirは次のように書いている。「私たちは新しいモデルを使用して姉妹種の形質の違いを分析し、適応的な生態学的分岐は脊椎動物における標準ではなく特例であることを発見した。この結果は、種分化の第一段階は分岐適応によって始まるという古典的見解とは対照をなすとともに、新しい種は一般的に極小の生態学的分岐とも無関係に生まれるという新しい見解を支持している。」