News Release

心保護に向けたCRISPR-Cas9遺伝子編集

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

心臓の有害なシグナル伝達経路を標的とした新しいCRISPR-Cas9アプローチで虚血/再灌流障害からの保護が行えることが、マウスを用いた研究で示された。この知見は、遺伝子編集が、世界の罹患と死亡の主因である心疾患を治療するための永続的かつ先進的な戦略となり、心臓発作直後の心損傷を修復するための介入法ともなることを示唆している。CRISPR-Cas9遺伝子編集は、まれな遺伝疾患の治療法として有望である。しかし、ほとんどの遺伝子編集戦略は、少数の患者のみに多くの場合疾患発症前に生じる特定の遺伝子変異の是正に重点を置いており、このアプローチの幅広い適用は依然として限られている。今回、Simon LebekとEric Olsonらが、心疾患のさまざまな患者の治療に利用できるCRISPR-Cas9遺伝子編集治療について報告した。虚血/再灌流(IR)障害は、脳卒中や心臓発作などのさまざまな心血管傷害後に生じる組織損傷の一種である。Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIδ(CaMKIIδ)の慢性的過剰活性化が、ヒトとマウスのIR障害を含む複数の心疾患の原因となることが知られている。メチオニン残基の酸化はCaMKIIδ過剰活性化を促進する。Lebekらはマウスモデルで、CRISPR-Cas9アデニン塩基編集を用いて心筋細胞のCaMKIIδ遺伝子の酸化活性化部位を除去すると、IR障害を予防できることを明らかにした。さらにLebekらは、IR障害直後のマウスに遺伝子編集試薬を注射すると、重度損傷後のマウスの心機能を回復させることができたことを明らかにした。


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