News Release

米国の調査から多遺伝子胚スクリーニングによる選択に対する一般市民の態度が明らかに

Reports and Proceedings

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Policy ForumでMichelle Meyerらは、数千人の米国人について多遺伝子胚スクリーニングによる選択に対する態度を調べた、この種のものでは初の調査から得られた洞察を紹介している。著者らは、その調査で収集された情報が、この技術を巡って政策論議が行われる場合に、いかに有用な情報をもたらし得るかについて論じている。着床前遺伝子検査は、染色体または単一遺伝子疾患をもつ子どもが生まれるリスクを有する親にとって標準ケアとなっている。体外受精(IVF)によって生まれた胚に対して、異常の有無について着床前に遺伝子検査を行うことで、遺伝による遺伝子疾患のリスクを最小限にすることができる。しかし、ヒトのほとんどの形質は高度に多遺伝子性である。多遺伝子リスクに対する着床前遺伝子検査(PGT-P)は、胚の全ゲノムをスクリーニングし、多遺伝子指標(polygenic index)を用いて、IVFを行った場合に特定の多遺伝子表現型が現れる確率を予測する、新たな技術である。対象となる転帰は、がんやその他の疾患のリスクから、子どもの学業成績の予測にまで至る範囲が含まれる。PGT-Pは世界中のIVFクリニックで利用できるが、米国では今でも規制を受けておらず、遺伝的形質をコントロールしようとするCRISPRによる生殖系列遺伝子編集などの他の技術と比べて、一般市民の注目を受けたり政策論議の対象となったりすることが少ない。PGT-Pに対する一般市民の受け止め方について理解を深めるため、MeyerらはPGT-Pおよび生殖系列遺伝子編集に対する、特に子どもの将来の学業成績を高めるという議論のある目的のための使用に対する態度を調べるために、事前登録制の全国調査実験を実施した。その結果、上記の目的のため、特に35歳未満の高学歴の人を対象にとしてPGT-Pを用いることに対する道徳的な許容性と利用しようという意志は、生殖系列遺伝子編集に対するものより高いことが分かった。その上、この調査の参加者には、他の多くの人たちもこの技術を使用すると思った場合に、PGT-Pの使用に対してより抵抗がなくなる傾向が認められた。Meyerらはまた、この技術の使い方によっては、健康や社会における不公平を間接的に悪化させる可能性があること、またこの技術のより広い使用についてどう考えるかは、例えば「生殖に関わる他の選択肢をさらに脅かすことなく、PGT-Pに関する選択を規制できるのか」といった問題を提起することになる、と指摘している。


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