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判明:「野生絶滅」種は危うい状況にある

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

野生絶滅(EW)種とは、国際自然保護連合(ICUN)が作成した「絶滅のおそれのある種のレッドリスト」(レッドリスト)において、絶滅するリスクが最も高いと見なされている種である。しかし、EW種に対しては、野生に残る種と同じような詳細な評価は行われていないため、そのリスクの程度や変化については不明な点が多い。今回のReviewでは、Donal Smithらが、EW種である動植物のデータを総合し、その危機的状況と保全の経緯を包括的に報告している。「我々が扱った事例は、生息域外で保全することで絶滅を防ぎ、瀬戸際にある種の回復を促進しようとする70年を超える試みを表している。これにより、現状の脆弱性と同時に、脆弱ながらも保全が成功する可能性が浮き彫りになった」と、Smithらは述べている。EW種は、動物園や水族館、植物園、種子銀行でしか存在が確認されていない種で、絶滅のリスクが最も高いとされる。それにもかかわらず、ICUNのレッドリストは一般に野生の個体のみに注目するため、EW種はレッドリストの枠組みでは見過ごされがちである。今回、Smithらは84種(動物40種、植物44種)のEW種を評価し、リスクの状況や、生息域以外での現在の個体数、回復に向けた保全活動についてまとめた。その結果、ほとんどのEW種は個体数が少なく(1000を下回るものも多い)、親になれる個体の数が限られているため、遺伝的多様性も低い。さらに、ほとんどのEW植物種は、少数の所有者が繁殖による保全を行っており、種子銀行で守られているものは、まだ少ない。また、一部のEW種では野生復帰が成功しているが、そうした試みは稀である。まとめると、Smithらは、EW種の状況を危機感をもって受け止めるべきであり、絶滅を防ぐにはEW種の個体群を評価・管理するシステムを改善することが極めて重要であると論じている。


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