Colin Simpfendorferらが実施した大々的な地球規模の調査によると、サンゴ礁に生息する最も一般的なサメ5種が、60~73%減少しているという。一部のサメ種は、調査を実施したサンゴ礁の34~47%で姿を確認できなかった。おそらく原因は乱獲であり、乱獲によってサメそのものとサメが食べる餌生物の両方が減少したのだろうと、著者らは述べている。サメの個体数が減少するにつれて、サンゴ礁ではエイ種が増加しており、この生物群集において板鰓類の上位種が入れ替わりつつあるとみられる。Simpfendorferらは、67ヵ国、391ヵ所のサンゴ礁に、遠隔水中ビデオステーションを2万2756台設置して調査を行った。その結果、よく統治された裕福な国や、保護された海洋保護区では、サメが優位を占めるサンゴ礁が存続していることが分かった。一方、統治の行き届かない貧しい地域では、エイがサンゴ礁の生物群集で優位を占めていた。サンゴ礁に生息するこれらのサメ種にみられる減少の度合い(推定)は、IUCNレッドリストで絶滅危惧種に分類される基準を満たしている、と研究者らは指摘している。関連するPerspectiveではDavid Shiffmanが、Global FinPrintプロジェクトの下で、著者らがほぼ3年分の編集前の映像をどのように分析したかについて説明している。この研究は「一連の論文の最新のものであり、地球規模の問題には大規模で学際的なチームが欠かせないことを示している」とShiffmanは述べている。
Journal
Science
Article Title
Widespread diversity deficits of coral reef sharks and rays
Article Publication Date
16-Jun-2023