人類史上初めて、人に管理されない人間以外の主体 ―― 人工知能(AI)が運営する企業など―― を新「種」の法的主体として法制度に組み入れるべきである、とDaniel GervaisとJohn NayがPolicy Forumで述べている。いまやAIは権利と義務を持つ法的主体として機能しうるところまで進化している、と著者らは言う。したがって、問題が解決できないほど複雑で困難なものになる前に、AIを法的主体として扱うことのできる「種をまたぐ」法的枠組みを構築する必要がある、と同氏らは述べている。これまでのところ法制度は一義的であり、その設計と使用について発言を許されているのは人間だけだ。動物などの人間以外の法的主体は、必然的に人間の代理人によってその権利が具体化されてきた。ただし、それらを含めることは、これらの人間以外の法的主体の権利と責任を定義し保護しているというよりも、むしろそれらに関連する人間の利益と義務に対処するための手段となっている。米国では、企業は法制度の枠組みにおいて「法人」として認識される。しかし法域によっては必ずしも、法人格にはそれを統制する人間の所有者や経営者がいなければならない、と明確に法律で義務づけられているわけではいない。したがって、法律上は、概してAIが法人格を運営するのを妨げるものはない。今回、GervaisとNayは、急速に現実化しつつある、AIの運営する「職員ゼロの有限責任会社(LLC)」 ―― あるいは一連の行為に人間が直接関与することなく自律的に活動する法人格 ―― の概念を取り上げている。著者らは、このようなAIの運営するLLCやその活動を法制度内で扱えるようにする道筋をいくつか考察している。AIの開発や使用を止めるという考えはまったく現実的でないため、GervaisとNayはその他の選択肢について論じており、機械を人間よりも法的に劣るものとして扱ったり法律を遵守するようAIシステムを設計したりすることでAIを規制する方法や、手遅れになるほど複雑化する前にAIを法的枠組みの中に組み込む方法などが考察されている。
Journal
Science
Article Title
Artificial intelligence and interspecific law
Article Publication Date
27-Oct-2023