Policy Forumの新しい記事の著者らは、2000年以降にFDAが承認した医薬品の約半数は、もしこの数十年の間に米国国立衛生研究所(NIH)の資金が40%削減されていたならば打ち切られていたであろう助成金による資金提供を受けた文献に支えられていると書いている。この記事でPierre Azoulayらは、仮定のもう一つの歴史について分析結果を提示している。「近い将来がここ数十年と似ていると仮定すると、私たちの分析は、NIHの予算の大幅削減 - 資金提供枠(funding margin)で実施されたものを含む - により、潜在的な医薬品承認の大多数に関連する研究が制限される可能性があることを示している」と彼らは述べている。NIHは、歴史的に世界で最も着実に支援されてきた生物医学研究助成機関の一つであるが、前例のない不確実性に直面している。2025年、NIHは既存の助成金を取り消したり、新しい助成金を遅らせたりし始めた。また、競争的助成金の資金は前年の水準を40%以上も下回った。そのうえ、トランプ政権の2026会計年度予算案では約40%の支出削減が提案されている。
Azoulayらは、そういった削減の潜在的影響を探るべく、「もしも」のシナリオ分析を行い、こういった削減が下流の創薬にどういった影響があるかを測った。彼らは、低分子医薬品に対する「リスクのある」助成金 - 1980年から2007年にもし予算が40%削減されていたならば打ち切られていたであろう助成金 - に焦点を当てた。2000年から2023年に承認された557の医薬品のうち、40がNIHの外部資金提供を直接認める特許を少なくとも一つは持っており、そのうち14はリスクのある助成金に支援されていることが判明した。また、研究の引用を見てみると331がNIHの支援する文献を少なくとも一つは引用し、286が40%の予算削減があれば打ち切られていたであろう助成金による資金を受けた研究を参考文献にあげていた。これらの発見は、現代の医薬品の大部分が公的資金を受けた科学に、多くの場合は重要な背景知識や方法、基礎研究を提供する間接的な経路を通じて支えられていることを示唆している。著者らはまた、リスクのある研究に関連する多数の医薬品は非常に価値が高いことも明らかにし、NIHの資金は医療革新の大部分を支えているのみならず、臨床的にも経済的にも重要な医薬品をも支えていることを実証している。
Journal
Science
Article Title
What if the NIH had been 40% smaller?
Article Publication Date
25-Sep-2025