機能しているガソリン車は、電気自動車(EV)に交換する前に寿命まで使い続けるべきだという想定に対して、新たな知見が異議を唱えている。今回の研究によると、電気自動車の製造時に排出される二酸化炭素量を考慮しても、買ったばかりのガソリン車でさえEVに交換したほうがライフタイムの温室効果ガス排出量が少なくなる。米国において、自家用車は、航空機、鉄道、船、商用トラック、バスなど、その他すべての形態の輸送手段を合わせたものよりも、二酸化炭素(CO₂)排出の大きな原因となっている。そのため、ガソリン駆動の乗用車、SUV、トラックを減らしていくことが、気候変動政策の中心となる。バッテリー駆動の電気自動車がライフタイムに排出する温室効果ガスは内燃機関(ICE)車両よりもはるかに少なく、その気候変動面での利益は、電力網がよりクリーンになるに従ってさらに増大すると予想される。ただし、車両の新規購入時にICE車両よりもEVを選択するほうが排出量の面で有益であることは十分に確立されているものの、機能しているガソリン車をいつ廃車にしてEVに交換するべきかについては不明なままである。ガソリン車を走らせ続ければ、新たなEV製造による排出量の増加は避けられるが、EVは走行時の排出量がはるかに少ないので、早期に交換することで大幅な削減がもたらされる可能性がある。この問題に対処するため、Elliott CampbellとRoland Geyerは、ICE車両を使用し続ける場合と、早期にICE車両を廃車しEVに交換する場合のライフサイクルのCO₂排出量を推定した。広範な廃車シナリオと車両クラスにわたり、パワートレイン、バッテリーのサイズと製造、電気の供給源、および廃車年における変動を考慮に入れて、ライフサイクル分析を行った。この結果によると、広範な条件下にわたり――比較的新しいガソリン車の場合でも――機能している内燃機関車両をEVに交換することで、炭素排出量を削減することができる。著者らは、この結果によって車両の廃棄・交換プログラムが有力な気候変動政策となる可能性がある、と論じている。
Journal
Science
Article Title
The climate benefits of retiring a fully operational internal combustion engine vehicle
Article Publication Date
6-Aug-2026