News Release

心臓の補助的な血管は、動脈ではなく毛細血管から発達する

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

マウスを用いた新たな研究により、冠動脈閉塞後に心臓が補助的な血管を構築する仕組みに関する長年の見解に異議が唱えられた。新たな側副動脈が主に既存の動脈ではなく毛細血管から発生することが示されたのである。これらの知見は、心臓の修復促進に活用しうる分子経路についての洞察をもたらすものである。世界的に主要な死因の1つとなっている冠動脈疾患は、心筋への血流を阻害し、心臓発作を引き起こす可能性がある。ステントやバイパス手術などの医療処置によって循環を回復させることはできるが、これらの方法は侵襲的でリスクを伴ううえに、必ずしも有効とは限らない。そのため、別のアプローチが必要とされている。冠動脈の側副血管は、天然のパイパスとして機能し、閉塞した血管の周囲に血液を迂回させ、障害後の転帰を改善する。したがって、側副動脈の形成を促す方法を開発できれば、重要な治療戦略が得られる可能性がある。これまで、冠動脈の側副血管は、閉塞による血流の力の増大に反応して、既存の動脈のつながりが拡大されて形成されると考えられていた。だが近年の研究により、こうした血管は新たに発生することができ、その発達には動脈の内皮細胞が中心的な役割を果たしていることが示されている。ところが、これらの血管が発生するメカニズムは依然としてほとんど解明されていない。この問題に対処するため、Mingjun Zhangらは、遺伝子改変マウスモデルとデュアル細胞系譜解析(dual genetic lineage-tracing)ツールを用いて、冠動脈の側副血管形成時における異なる種類の内皮細胞の起源を追跡した。その結果、冠動脈の新たな側副血管の主な構成要素は、動脈の内皮細胞ではなく毛細血管の内皮細胞であることが明らかになった。心臓の修復には、毛細血管の側副動脈への変換が極めて重要なのである。さらにZhangらは、この毛細血管から動脈への変換を促進するVEGF誘導性の分子経路も同定し、新たな側副血管の形成と心臓の修復を促進しうる戦略を示した。

 

研究インテグリティにご関心のある記者の方へ:本研究の共著者であるBin Zhouは次のように述べています。「生物科学の発展には、厳密な実験計画、透明性、再現性、開かれたコミュニケーションを強化するための継続的な努力が必要です。信頼できる科学的発見を促進するために、協力的で責任ある研究文化を育むことが不可欠です」


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